焼失したハウス再建に踏み出した吉本哲朗さん(左)と長女の矩子さん=阿南市山口町久延の「吉本ラン園」

全焼したガラスハウス。出荷前の洋ランが失われた=阿南市山口町久延の「吉本ラン園」(矩子さん提供)

 火事で栽培ハウスを失った阿南市山口町久延の「吉本ラン園」が、再建に向けて踏み出した。惨事に意気消沈した経営者の吉本哲朗さん(62)を元気づけようと長女矩子(のりこ)さん(32)=会社員=が再建資金を募り、出荷先や生産者仲間から善意が寄せられている。意欲を取り戻した哲朗さんは別のハウスで新しいランを育て、励ましに応えようとしている。

 火事が起きたのは3月31日、主に出荷前の花を保管していた390平方メートルのガラスハウス。開花期を迎えたミニカトレアなど洋ラン約3千鉢が置かれていた。ランは一般的に開花まで6~7年かかるといわれ、哲朗さんは丹精込めて育てた花を失った。阿南署などが出火原因を調べているが、明らかになっていない。

 ひどく落ち込む哲朗さんの姿に、矩子さんは「目に力がなく、命を投げ捨ててしまわないか本当に心配だった」と振り返る。救いたい思いでひらめいたのが、インターネットで全国から支援を募るクラウドファンディング(CF)だった。

 写真技術や文章力に長けた友人の協力を得て、火災の経緯や被害をまとめた支援募集ページを制作。花を出荷している小松島市の産直市「みはらしの丘あいさい広場」に支援を募るポスターを掲示したり、来店者にチラシを配ったりした。

 CFは6月10日に始め、目標額は270万円。ハウスの解体や苗の購入、出荷作業所の整備費用などに充てる。7月1日時点で約200万円が寄せられている。

 産直市に出品している仲間も支援。サツマイモ生産者の森しのぶさん(50)=阿南市羽ノ浦町宮倉=は「大切なハウスを一瞬で失った悲しみを想像するだけでつらい。父を支えようとする娘さんの行動にも心を動かされた」と話した。

 支援金募集はCFサイト「READYFOR(レディーフォー)」で。3千~10万円の応援プランがあり、それぞれ感謝の手紙や洋ランなどの返礼品を送る。受け付けは8月8日まで。