学生によるグループ討論があった阿波銀の選考試験=徳島市のあわぎんホール

 来春卒業予定の大学生らに対する主要企業の選考活動が解禁された1日、徳島県内でも採用試験が本格的に始まった。幅広い業種で学生優位の「売り手市場」が一段と強まっており、大学生の就職内定率は5月1日時点で4割を超えるとの全国調査もある。県内も内定を前倒しする企業が目立ち、優秀な学生の確保を狙って各社が知恵を絞っている。

 阿波銀行(徳島市)は同市のあわぎんホールで選考を始め、約100人がグループ討論を行った。大塚製薬工場(鳴門市)も大阪市を皮切りに面接試験を開始。徳島銀行(徳島市)は2、3両日、徳島市の同行研修会館で選考試験を行う。

 3社とも採用スケジュールは例年と同じだが、近年は複数企業から内定を取る学生が増えており、優秀な学生の「辞退」への警戒感を隠さない。「選考後も、懇親会や研修などで学生と密にコミュニケーションを取っていきたい」と阿波銀の担当者。徳島銀の担当者も「大学OBによる接触の機会を増やすことも考えたい」と言う。

 就職サイトを運営するリクルートキャリアによると、5月1日時点の大学生の内定率は前年より7・6ポイント高い42・7%。経団連に加盟していない外資系やIT、中小企業の内定が中心とみられる。

 ソフトウエア開発の日本システム開発(徳島市)は7日に会社説明会を開き、選考を本格化させるが、エントリー数は昨年より減っているという。担当者は「今年はインターンシップ(職業体験)の回数を増やすなどしたが、なかなか厳しい。人工知能(AI)の開発などを手掛ける大手に流れているのでは」と話した。

 都市部を中心に学生への内定を出す企業が相次いでいることを受け、ガラス加工機メーカーの坂東機工(徳島市)は昨年より1週間ほど早い5月20日から内定を通知。別の製造大手も、一部の学生に対し、例年6月1日に出していた内々定を5月に前倒しした。

 県内流通大手のキョーエイ(徳島市)は昨年に続いて5月中旬から選考を始め、既に5人に内定を出した。今年はさらに、昨年まで1回だった採用試験を複数回に増やし、今月以降も続ける。担当者は「近年は人手不足で苦労している。採用活動の期間を長くし、より多くの学生と接触したい」と力を込めた。