県のとくしま記念オーケストラ事業を巡る新たな問題が浮上し、県議会6月定例会での議論が注目されたが、表面的なやりとりに終わった。疑念に応える内容とは言えず、幕引きを図ろうとする県の姿勢と議会の追及不足が目立った。

 記念オケ事業に絡む脱税事件では、有罪判決を受けた音楽プロダクションの元代表が東京地検の取り調べに対して、県や県文化振興財団の職員でつくる専門チームの担当者が経費の見積書や請求書を代行作成し、実際より高い金額が支払われたなどとする趣旨の供述をしていたことが6月上旬、刑事確定訴訟記録で明らかになった。

 県はこれまで議会で「(委託業者とプロダクションによる)民間事業者同士の取引」と答弁してきた。新たに県の関与をうかがわせるメールの存在などが指摘され、答弁との食い違いをどう説明するのか、過大な金額がプロダクション側に渡っていなかったのかなどが問われた。

 本会議や委員会で複数の議員が取り上げたものの、飯泉嘉門知事ら県側は「事業が適正に執行された」などと繰り返し、議員の質問も不十分だった。

 委員会では県の担当者が「事業は財団が主体となって実施している」と、県職員の主体的な関与を否定。経費については「過大な積算をした事実はない」とした。

 ただ、いずれも根拠は乏しい。新たな問題を受けて改めて調査したのかとの問いに「これまで可能な限り調査し、議会に説明してきた」と再調査には消極的な姿勢を示した。問題に真摯(しんし)に向き合っているようには見えず、答弁は説得力に欠けた。

 県議側もチェック機能を果たせたとは言い難い。最大会派・県議会自民党の2議員は委員会で、従来の説明を繰り返す県側の答弁に対して「財団が事業の運営と事務局的機能を担っていたことが確認できた」「民間事業者間の契約行為に関与していたことはないと明確に答弁いただけた」と結論付けた。事実を解明する本気度が感じられず、事態の収拾に協力しているととられても仕方ないように映った。

 野党会派からも突っ込んだ質問はなかった。県議会では、刑事確定訴訟記録を引用して発言する場合、記録を取得した経緯などを記して事前に議長へ届け出る必要があると申し合わせているためだ。

 総務委では市民団体から出ていた、事業について徹底的に調査するよう求める請願2件を不採択にすることを決めた。県議の中には「記念オケ事業は終わった話だ」との空気も漂う。だが、依然として事業は不透明な部分が多く、疑問が解消されたわけではない。県側も適正に執行されたと言うなら、改めて調査を尽くして明確に説明すべきだろう。