静岡県熱海市で起きた土石流は、上流部の盛り土が被害を拡大させた可能性が指摘されている。徳島県内では、宅地開発による大規模な盛り土の造成地が10市町に70カ所あるものの、いずれも自治体の財政難などから、安全性を確認するために国が求める本格的な調査はできていない。

 県によると、70カ所は国が「大規模盛り土造成地の滑動崩落対策推進ガイドライン」で対象とする<1>谷を埋めた盛り土の面積が3千平方メートル以上<2>元は勾配20度以上の傾斜地で盛り土の高さが5メートル以上―のいずれかの宅地。徳島市が31カ所と最も多く▽吉野川市10▽鳴門市、牟岐町各6▽美馬市4▽阿南市、美波町、板野町各3▽小松島市、石井町各2―となっている。

 土砂災害警戒区域に含まれる場所も少なからずあるが、詳細は分かっていない。県は熱海市の土石流災害を受け、警戒区域のうち土石流の危険がある場所やその上流部に盛り土の造成地があるか、近く市や町と点検する。

 全国では阪神大震災や新潟県中越地震で地滑りが相次ぎ、国が2006年に宅地造成等規制法を改正。宅地を対象に「大規模盛り土造成地」の分布マップを作るよう自治体に促した。東日本大震災でも被害が発生し、15年に指針を改めて促進してきた。県は16年にマップを公表し、70カ所を記している。

 マップで示した造成地について、国はボーリングによる地盤調査で危険度を調べ、必要なら対策工事をするよう市区町村に求めている。しかし、財源確保と住民の理解を得るのに難航して調査は進んでいない。県内で危険度を調査した場所はゼロで、全国でも20年度末時点で調査に着手しているのは6・3%の63市区町村にとどまる。国は昨年12月、25年度までに60%にする目標を掲げている。

 徳島市は、造成地の擁壁に亀裂がないかや地下水がしみ出していないかを目視で確認するとともに、開発許可の経緯を調べるなど、本格的な調査の計画作りに取り組んでいる。市建築指導課の担当者は「災害への危機感は持っている。だが箇所数が多く、予算や人員も限られており、国が示すスケジュールより早く進めるのは難しい」と話している。

 県都市計画課は「これらの造成地が必ずしも危険というわけではない。日頃から地盤や擁壁に変化がないか関心を持ってほしい」としている。