2016年度の年間王者に輝いたプロサーファー川合さん=徳島市内

2016年度の年間王者に輝いたプロサーファー川合さん=徳島市内

 徳島市出身のプロサーファー川合美乃里さん(15)=明聖高1年=が、日本プロサーフィン連盟(JPSA)の女子ショートボード部門で、2016年度の年間王者(グランドチャンピオン)に輝いた。これまで17歳だった最年少記録も更新。正式種目に採用される4年後の東京五輪を視野にさらなる飛躍を誓っている。

 年間王者は4~10月に国内外で開かれるツアー全8戦中、上位7戦のポイント合計で決まる。川合さんは9月上旬の第5戦(茨城)で優勝、6月の第2戦(静岡)と9月中旬の第6戦(神奈川)で準優勝するなどし、初の栄冠を勝ち取った。

 波の上端からボードを高く突き上げる「ストレートアップ」と呼ばれる技が代名詞。高さと角度に定評があり、ライバルからも秘訣(ひけつ)を尋ねられるほどの自慢の技だ。

 川内北小2年の頃、サーフィンを楽しむ父勇一さん(43)の姿を見て母あすかさん(42)と一緒に海に通った。最初はボードに立つだけで一苦労したが、やがて波に乗る疾走感に夢中になった。

 4年生から各地の大会を転戦し、川内中2年の14年に記録上、最年少の13歳9カ月でプロ登録。15年はツアーで2勝して、年間2位で最優秀新人(ルーキー・オブ・ザ・イヤー)に輝く。周囲も驚く急成長だった。

 だが当人に「最年少」のこだわりはない。今季はむしろ、力不足を感じる1年だった。昨年はツアーで2勝したが今季は1勝止まり。年間王者に花を添えるつもりだった10月の最終戦もミスで8強入りを逃し「泣きながら陸に上がってきた」とあすかさんは話す。

 国際大会出場が増え、海外勢のレベルの高さも痛感。個人単位で競技することが多い日本と比べ「(海外勢は)コーチやトレーナーなどのサポート態勢が充実している」と、練習環境の違いも指摘する。

 「もっと上手に、強くなりたい」。そんな川合さんの思いを実現するために、5月、一家は太平洋に面する千葉県一宮町に移住。自宅から目と鼻の先にある九十九里浜の最南端、釣ケ崎海岸で徳島とはパワーが違う波にもまれ、一日の大半を過ごす。大勢集う熟練サーファーらの助言や指導も肥やしにしている。

 「日本の大会も大事だが、来季は(世界ツアーの予選に当たる)QSで勝負したいと思っている」。若き女王の挑戦は、まだ始まったばかりだ。