うなぎ弁当(税込み2700円)
 

 28日の土用の丑(うし)の日を前に、2008年に地元住民に惜しまれながら閉店したウナギ料理店「うなぎの味処 山口屋」(当時=徳島市南昭和町1)の味が、約13年ぶりに復活した。発酵食を提供するカフェと料理教室の「Cafe&Hakko Lab 山口飲食」(同市両国本町1)が24、25、27、28の4日間、山口屋のうなぎ弁当などを提供。予約販売のみだが、弁当などウナギ500匹分の注文が入る盛況ぶりだ。

 

 24日には、ウナギ弁当などを注文していた予約客が続々と来店。母親と2人で訪れ、弁当3個などを購入した徳島市の会社員齋藤千夏さん(25)は「幼いころから家族で月2回ほど訪れており、ウナギといえば山口屋だった。家族と一緒に当時のことを思い出しながら味わいたい」と語った。

 店内で慌ただしく働くのは、1975年に山口屋を創業した故山口忠さん(2007年に71歳で死去)の妻清子さん(85)と長女の富味(とみ)さん(61)、富味さんの子の4姉妹、4姉妹の子どもたち。4世代が互いに助け合いながら、手際よく弁当を仕上げていた。

徳島市両国本町1の「Cafe&Hakko Lab 山口飲食」

 富味さんの四女でスタッフの北西ゆいさん(30)は「山口屋のウナギの味を覚えている人が、こんなにもいてくれてうれしい。今後も土用の丑の日にはウナギを提供していきたい」と笑顔を見せた。

 山口屋が営業していた頃は毎年土用の丑の日が近づくと、1日に3千人以上の客が詰め掛けるほど人気だったという。しかし、店を継いだ忠さんの長男基司さん(59)や長女の富味さんが「営業を続けるのは苦労も多い。子どもたちは店を継がずに自由な道を歩んでほしい」と2008年8月に店を閉めた。

 

 その後、富味さんの次女さきさん(38)が昨年2月に山口飲食をオープン。さきさんら4姉妹と富味さんが店を切り盛りする中で、「かつての山口屋のようにウナギをまた売ってみたい」という話になり、今年6月から本格的にウナギの販売を検討し始めた。

 知人を頼りに県産ウナギを仕入れたほか、基司さんからタレの作り方など調理法を習得。蒸気や熱風で加熱調理するスチームコンベクションオーブンを使ってウナギの身をふっくら焼き上げるなど、当時のウナギのかば焼きを忠実に再現した。

 6日から予約の受け付けを始めたところ、2週間ほどで弁当約300食、かば焼き約150食の注文が入ったという。清子さんは「山口屋が営業していた頃は毎日お祭りのような活気があり、その光景を今でも鮮明に覚えている。またウナギが売れるなんて夢みたい」と、うれしそうに話した。

 

 ウナギ弁当(税込み2700円)など今夏の予約は既に終了しているが、当日の販売状況により予約なしでも購入できる場合がある。問い合わせは山口飲食、電話088(635)5291。