学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る決裁文書改ざん問題で、財務省が調査報告書と関係者20人の処分を発表した。

 報告書によると、改ざんは当時の理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官が方向性を決め、中村稔理財局総務課長が中核的な役割を担ったと認定した。

 森友側との交渉記録は、安倍晋三首相が昨年2月17日に「私や妻が関係していたなら首相も国会議員も辞める」と国会で答弁したことなどをきっかけに、廃棄したという。

 一連の不正は、国民や国会を欺くもので、公務員にあるまじき行為だ。

 処分で最も重いのは佐川氏で停職3カ月相当としたが、国民が納得するだろうか。

 改ざんは、佐川氏が「政治家関係者の記載のある文書は外に出すべきではない」などと発言したのを受けて、中村氏らが、安倍首相夫人の昭恵氏に関する記述や国会議員秘書による照会記録などを削除した。

 佐川氏は国会で「政治家の関与は一切ない」「交渉記録は残っていない」などの答弁を繰り返していた。

 国会審議の紛糾を恐れ、回避するのが動機だったと説明した。

 そんな身勝手な理由で文書を改ざんして、国会での追及やチェックを逃れようとしたとは、言語道断である。

 報告書は、文書改ざんに加えて、交渉記録の意図的な廃棄、森友側にごみ撤去作業の口裏合わせを依頼していたことを認定した。

 一連の行為は理財局で行われ、麻生太郎財務相や事務次官には報告されなかったとしている。

 麻生氏は会見で「安倍昭恵という人がかんでいるから書き直したというのは認められない」と述べた。

 しかし、首相答弁後の不正は、官邸への忖度にほかなるまい。佐川氏らが財務省はもちろん、首相や昭恵夫人らにとって都合の悪い事実を国民の目から覆い隠していたことは確かだ。

 そんな不正が内々にできるのなら、管理態勢に問題がある。再発防止策と綱紀粛正を徹底しなければならない。

 麻生氏は「行政全体の信頼を損なった」と陳謝し、続投の意向を表明した。閣僚給与1年分を自主的に返納するという。だが、不用意な発言を連発する麻生氏の続投が信頼回復につながるかは疑問だ。

 これで森友問題を幕引きにすることは到底できない。

 文書に関して本当に政治の圧力はなかったのだろうか。

 決裁文書改ざんで大阪地検特捜部は、佐川氏らを不起訴処分とし、捜査を終結した。

 国会の証人喚問で佐川氏は、改ざんの経緯や動機、指示系統など核心部分について「刑事訴追の恐れがある」として証言拒否を繰り返した。

 不起訴処分になり、財務省の調査報告が出た今、佐川氏は自らの言葉で国民に詳しく真相を説明すべきだ。