来春、小学校に入学する子ども向けのランドセル商戦が徳島県内で早くも始まっている。色やデザイン、価格を優先しがちだが、忘れてはいけないのは子どもの体への影響。「脱ゆとり教育」の流れの中、ランドセルに入れる教材が増えていることもあり、購入の際は重さも考慮したい。 

多様化が進むランドセル。店舗を訪れて子どもの成長に合ったものを選びたい=徳島市のイオンモール徳島

 

 「ラン活(ランドセル選び活動)という言葉があるくらい家族の一大イベントになりつつある」と話すのは、イオンモール徳島(徳島市)の安田尚子さん(25)。同店では客の要望を受け、昨年は6月末に行った予約販売会を今年は5月と7月の2回に増やし、期間も3日間から各10日間にした。

 ランドセルは3万円台から10万円を超えるものまでさまざま。背負ったときに肩や背中との密着度が高いと負担感が減るため、購入時のポイントとなる。

 同店の売れ筋は、背負った時の負担を軽減できる上級モデル。左右の肩甲骨と背中、腰に触れる裏地部分に専用パットを配置し、体への密着度を高めた。ランドセルを3点で支えることで、重量を分散させ、軽く感じることができるという。今年から色とデザインのオーダーメイドもできるようになった。

 一般社団法人教科書協会によると、学習指導要領の変更に伴い、2015年の小学校の国語、算数、理科、社会の教科書の総ページ数は、10年前の05年と比べて約35%増えた。ランドセル本体の重さは約1キロ。ノートや文具などを合わせると、小学1年生でも3キロほどを背負って通学しているという。

 英語や道徳教育の充実が叫ばれ、今後、教材がさらに増える可能性がある。「通学距離が遠かったり、小柄だったりすることで、なるべく軽いものを求める方は多い」と安田さんは話す。

 3月の改装に合わせ、ランドセル売り場を常設にしたゆめタウン徳島(藍住町)では、大手メーカーで研修を受けた「ランドセルコンセルジュ」の8人を配置した。

 売り場には約2キロのおもりを用意。実際にランドセルの中に入れて背負ってもらっている。

 肩や背中との間に隙間があると、ランドセルの重心が下がって重く感じる。背中の高い位置で密着させれば、体感重量は軽減できる。歩き方や姿勢、動いたときのぶれなども見ながら、適切な助言を行っている。

 最近は子どもの肩こりや腰痛が増えているともいわれる。コンセルジュの大西悦子さん(43)は「ランドセル自体の重さよりも、実際に背負ったときにどう感じるかが重要。各社の製品の違いを確かめてほしい」と話す。