今も民主派市民への弾圧が続いており、死者は既に900人を超えている。犠牲をこれ以上増やさないためには、国際社会が働きかけを強める必要がある。

 ミャンマーで、国軍が武力クーデターにより政権を奪ってから半年になる。

 弾圧を恐れ、一時見られた百万人が参加するような大規模デモは行われなくなった。半面、政権を担っていたアウン・サン・スー・チー氏が軟禁下にある中、先鋭化した市民の行動が目立つようになっている。

 スー・チー氏の支持者らは少数民族との「統一政府」設立を宣言し、自衛組織の「国民防衛隊」を結成。これに呼応して武装した市民と、国軍による銃撃戦が各地で発生している。内戦の様相を呈しており、治安が一段と悪化しないか憂慮せざるを得ない。

 国軍の任命した選挙管理委員会は、スー・チー氏の率いる国民民主連盟(NLD)が圧勝した昨秋の総選挙で不正があったとして、結果を無効とする判断を示した。NLDを解党に追い込む意向だという。

 国軍は汚職などを理由に挙げてスー・チー氏の訴追も繰り返している。政治の舞台から完全に排除した上で、非常事態宣言の期限となる2年後をめどに再選挙を計画しているとされる。

 国民に人気の高いスー・チー氏がいなければ選挙に勝てる、と踏んでいるのは明らかである。公正公平にもとる手順であり、断じて容認できない。

 社会的な混乱が増幅しているのも気がかりだ。

 ミャンマーでは新型コロナウイルス感染の急拡大によって連日5千~7千人が新規感染し、死者が急増しているにもかかわらず、医療体制が十分に機能していない。クーデターへの抗議のため職務を放棄する「不服従運動」が医療現場でも続いており、国軍が運動参加者の摘発と拘束を一気に進めたためだ。

 東京五輪に参加しているミャンマーの代表選手たちには、軍政下で選ばれたことから「国軍に服従した」という世論の批判が相次いでいる。

 医療崩壊の危機や国民の「分断」を招いている強権支配は、一刻も早く解消されるのが望ましい。

 情勢安定に向けては国連安全保障理事会が率先して取り組むのが筋だが、国軍を後押ししているとされる中国とロシアが当初から干渉に消極的なため、静観を余儀なくされている。

 猶予はないだけに、日本を含む先進7カ国(G7)がけん引すべきだろう。先のG7首脳会議で、ミャンマー問題の解決へ結束することを確認したのは妥当だ。具体的な支援・介入策の検討、実践が急がれる。