新型コロナウイルスが感染爆発の様相を呈してきた。国民の命と暮らしが脅かされているにもかかわらず、政府・与党は、野党4党が求める臨時国会の召集を拒否し続けている。職務放棄というほかない。

 与党は、閉会中審査で十分に論議は行われているとする。だが、菅義偉首相は出席に応じていない。首相自らが先頭に立って難局に当たる姿勢を見せないで、国民の理解や協力が得られるわけがない。

 感染対策の不備はどこにあるのか。五輪・パラリンピックへの影響をどう防ぐのか。医療崩壊を食い止める手だては何か。与野党で議論し、より効果的な対策を打つのが筋だろう。今こそ国会を召集すべきである。

 国会議員の役割の一つは地元を回り、地域の実態を把握して政策に反映させることだ。必要ならば、予算の手当てをし、新規立法や法改正を行うことになる。

 これを果たせていると言えるか。酒類販売の自粛や時短営業を強いられる飲食店の悲鳴が耳に入っていれば、金融機関などを通じて「圧力」をかけようとすることはなかったはずだ。

 1日の全国知事会の会議で、大都市との行き来が減らないことや、ワクチンの供給不足などの指摘が相次いだのは、地方の実情を理解していない政府への不満の表れだろう。

 知事会は、強い危機感からロックダウン(都市封鎖)のような手法の検討を政府に要請した。法整備を含め、その是非を早急に国会を開いて議論すべきだ。

 菅政権は衆院選を控え、大型の補正予算編成に向けて経済対策を秋にまとめる意向だ。苦境に立つ業者や生活者の支援は急務である。秋と言わず、直ちに編成し国会で審議すればいい。

 今回の野党の要求は憲法53条に基づく。衆院か参院の総議員の4分の1以上が要求した場合、内閣は臨時国会の召集を決定しなければならないとの規定である。ただ、召集の期限を定めていないのをいいことに、これまでも自民党は招集要求に応じてこなかった。

 「内閣には合理的な期間内に召集に応じる憲法上の義務がある」とする地裁の判断も出ている。自民党自体が2012年の改憲草案に「20日以内」の召集義務を明記している。

 それでも無視し続けるのはなぜか。首相が野党の攻勢から逃げたいからではないのか。

 首相は召集要求に際し「コロナ対策に全精力を傾注したい」と語っている。国会審議がコロナ対応の障害になるような言い分だ。

 与野党が知恵を結集すべき時に、国会の存在意義を否定するような姿勢では危機は乗り切れない。