愛媛の小島(左)と競り合う徳島の島屋(中)。2得点に絡み、この試合のMVPに選ばれた=1日、鳴門ポカリスエットスタジアム

 7月1日の愛媛FCとの四国ダービー戦で先制ゴールを決め、最優秀選手(MVP)に選ばれたのがMF島屋八徳(28)=福岡県出身=だ。変幻自在のポジション取りと巧みなボール運びで好調な攻撃陣の一角を担う。昨季まで所属した山口FCではJ3、J2昇格に貢献。「自分の経験を徳島のJ1昇格のために生かしたい」と決意を新たにしている。
 
 今季最多の7500人余りが見守ったダービー戦。攻めながらもゴールが決まらない前半の嫌な流れの中でこぼれ球を押し込んだ。PKで追いつかれた後半も、島屋の積極的なシュートが相手のオウンゴールを誘い、リードを奪った。
 
 魅力はゴールへの鋭い嗅覚だけではない。スペースに飛び込んでパスを受け、ボールを持てばゴール前に切り込むなど、縦横無尽の動きが相手を幻惑させる。「試合の状況に応じて変化するのが徳島のスタイル。ロドリゲス監督のやりたいサッカーを体現するのが役割」と、さらりと言ってのける。
 
 168センチ、63キロと体格的に決して恵まれている方ではない。「僕より背が高く、速くてうまい選手は大勢いる。その中でどう自分のポジションを確保するかを考え、プレーしてきた」と振り返る。高い競争意識と一種の反骨心が、成長と活躍の原動力になった。
 
 古巣・山口とのアウェー戦では、山口サポーターから試合後も盛大なコールが送られた。それもそのはず、入団した2014年はJFLからJ3へ、翌15年はJ3で優勝してJ2自動昇格を実現したチームの「昇格請負人」だったからだ。
 
 その分、昇格の難しさ、苦しさも熟知している。特に15年は、ずっと首位でいながら最後は得失点差での勝負に追い込まれた。「長いシーズンの終盤には見えない重圧がかかってくる。相手に分析されてうまくいかない試合もあるはず。だからこそ毎試合の勝ち点、1得点の積み重ねが大切」と切々と語る。
 
 同時に、徳島の底力の高さも信じている。入団時こそ「自分はフィニッシャー(点取り屋)」と強く意識していたが、今は違う。「今季の徳島は周りに点を取れる選手がたくさんいる。自分はしっかりつないでチームの得点力を引き出したい」。落ち着いた余裕のある表情が、徳島のさらなる飛躍を予感させた。