2016年の参院選で導入した「徳島・高知」「鳥取・島根」の合区は、有権者と候補者の距離を広げ、投票率の低下を招くなど深刻な弊害をもたらした。

 来夏の参院選で合区を解消するのは、政治に課せられた責務である。

 自民党は合区解消を公約に掲げ、当該県の要望にも理解を示してきた。

 それなのに突然、「1票の格差」の是正に向け、合区を維持した上で、選挙区と比例代表の定数を計6増やす公選法改正案を打ち出した。

 比例代表は、改選数を3年ごとに2増とし、政党が事前に定めた順位によって当選者を決める「拘束名簿式」の特定枠を導入する。

 自民党は合区の2選挙区から出馬できない候補を特定枠で優遇し、議員の「空白県」をなくしたい考えだ。

 本県関係では、徳島選挙区で選出された三木亨氏と、高知選挙区選出の高野光二郎氏の現職2人が改選を迎える。

 特定枠を使う救済策から、合区4県に対する一定の配慮はくみ取れる。

 しかし、自民党の都合による公選法改正案とのそしりは免れないだろう。

 有権者が再び広大な選挙区で合区の弊害にさらされることも、看過できない。

 私たちはこれまで、合区解消に向け、定数増による格差是正を有力な選択肢だと主張してきた。

 肝心の合区解消を先送りしながら、定数を増やすことは到底、理解できない。

 選挙区では、議員1人当たりの有権者数が最も多い埼玉で、3年ごとの改選数を4議席へ1増する。「1票の格差」を3倍以内に抑える利点はある。

 だが、その場しのぎの感は否めない。自民党は憲法改正による合区解消を目指しており、衆参両院議員の選挙に関して「法律で定める」とした憲法47条の改正を柱とする条文案もまとめている。これは「1票の格差」にかかわらず、各都道府県から改選ごとに1人以上選出できる案だ。

 ところが、森友、加計学園疑惑などの影響で改憲機運が弱まると、今度は「1票の格差」是正のための公選法改正案を持ち出したのである。

 もとより、求められているのは選挙制度の抜本改革だ。合区を導入した改正公選法の付則では、来年の参院選に向けて選挙制度を抜本的に見直すと定められている。

 合区は、格差是正のための緊急避難の意味が強いのである。さらに緊急避難の上塗りをするのは、政治の怠慢だ。

 そんなことでは、いつまでたっても抜本改革などできないではないか。

 自民党は、参院改革協議会で、与野党各会派に公選法改正案を提示した。今国会での法案成立を目指すが、野党側は反発している。

 与野党とも、党利党略ではなく、国民目線でよりよい選挙制度の在り方を探るべきである。