第2次世界大戦中、ユダヤ人難民を救うため「命のビザ」を発給した外交官杉原千畝(ちうね)。城東高校から進んだ早稲田大の大学公認サークル「千畝ブリッジングプロジェクト」で、その功績を伝える活動に打ち込んだ。

 3月末、サークルの中心メンバーとしての業績が認められ、同大校友会の学生褒賞である「稲魂(とうこん)賞」を受賞。今春、社会人となったが、千畝への思いは変わらず、「ライフワークとして千畝の研究に携わっていきたい」と話す。

 千畝との出会いは小学4年の時。戦後60年記念のテレビ番組「日本のシンドラー杉原千畝物語 6千人の命のビザ」を見たのがきっかけだった。自らの危険を顧みることなく、出国直前までビザを書き続けた千畝の生き方に感銘を受け、当時存命だった妻の幸子さんに手紙を書いた。「福本君もぜひ千畝のような方になってください」との返事をもらい、心に深く刻まれる。

 千畝が学んだ早稲田大に進むと決め、入学後は千畝プロジェクトの活動にまい進。夏休みにはアルバイトで旅費を稼ぎ、ビザ発給の地・リトアニアに計3回渡航した。領事館を改装して一般公開されている杉原記念館で、日本人観光客向けに展示物のガイドなどを行った。

 千畝の功績や当時の歴史的背景をまとめた冊子「杉原千畝本」も1万部発行し、収益を全て記念館に寄付。冊子を使い、高校で出前授業も行った。「千畝の人道精神や勇気、決断力に憧れ続けている。千畝に触れるたび自分にはまねできないと思う。もっと若い世代に功績を知ってもらいたい」と思いを語る。

 今春、NHKに入局し、京都放送局で放送事業マネジメントの業務に就いた。「千畝は目先のことにとらわれず、世界平和に貢献するという広い視野を持ってビザ発給の決断を下した。こうした千畝スピリットを持って、仕事をしていきたい」と話す。

 ふくもと・だいき 渋野小、南部中、城東高卒業。小中高で生徒会長を経験し、高校では弁論部で活動した。早稲田大政経学部で地方自治などを専攻し、卒論では地方議会で議員立法が少ない理由を分析した。リオデジャネイロ五輪・競泳銀メダリストの坂井聖人さんらと共に、2017年度の稲魂賞受賞。京都市在住、22歳。