薬物を使った性犯罪の証拠を確保するため、県警が医療機関に配布する採尿キット

 睡眠薬などを悪用した性犯罪の摘発に向け、徳島県警は薬物の痕跡を調べる「採尿キット」を、県内22の医療機関に配布する。薬物の影響で被害者の記憶が曖昧になり立件できないケースがあるため、事件後に被害者が治療に訪れる可能性が高い医療機関に協力を求めて証拠保全につなげる。

 性犯罪に使用される薬物は「デートレイプドラッグ」と呼ばれ、病院で処方された薬を飲み物などに混入させる手口が多い。薬物は一定の時間がたつと採尿しても検出されなくなる。

 県警のキットは、採尿カップと保管容器、個人情報の保護シール、開封防止キャップの4点。「性犯罪被害者支援のための県警・産婦人科医ネットワーク」に加盟する医療機関と県内11警察署に配る。受診者に「被害の形跡はあるが覚えていない」といった、薬物を使用した性犯罪被害が疑われるときに使ってもらう。

 各機関は2017年度から、加害者の体液などを保管する証拠採取キットも配備している。

 警察庁によると、17年に摘発した性犯罪(強制性交、強制わいせつなど)のうち、催眠成分の入った薬物が使用されたのは85件と、16年(30件)の2・5倍以上に増加した。

 被害者支援団体から報告が寄せられ、内閣府男女共同参画局は今年2月、ホームページ上にデートレイプドラッグを使った性犯罪の手口を紹介するページを新設。急に眠くなるなど異変を感じる状況下で性犯罪に遭ったら薬物使用を疑い、検査を受けるよう呼び掛けている。

 県内では13年、女子高校生の飲み物に睡眠薬を入れて意識をもうろうとさせた上で、男3人が性的暴行を加える事件があった。県警捜査1課の宮本信治性犯罪捜査管理官は「性犯罪被害に遭い、その間の記憶がなかったり曖昧だったりしても、自分を責めず早めに相談してほしい」と話した。

 配布医療機関

 河野美香レディースクリニック、徳島市民病院、平尾レディースクリニック、梶産婦人科、しんくら女性クリニック、メイプルクリニック高橋産婦人科、徳島大学病院、徳島県立中央病院、恵愛レディースクリニック、祖川産婦人科クリニック(以上徳島市)県鳴門病院、レディースクリニック兼松産婦人科、だいとうレディースクリニック(以上鳴門市)徳島赤十字病院(小松島市)阿南共栄病院、木下産婦人科内科医院(以上阿南市)秦産婦人科内科(藍住町)手束病院、遠藤産婦人科(以上石井町)吉野川医療センター(吉野川市)つるぎ町立半田病院(同町)県立三好病院(三好市)