性別欄のない鳴門市の投票所入場券(下)。以前は3段目の氏名の横に性別欄があった(上)

 出生時の性別と自認する性が異なるトランスジェンダーの有権者らが選挙に行きやすい投票環境を整えようと、徳島県内の市町村で投票所入場整理券から性別欄を廃止する動きが広がっている。24市町村のうち、半数以上の13市町(本年度廃止予定を含む)が性別欄をなくしており、今後も取り組みが進みそうだ。

 各市町村選挙管理委員会に6月にアンケートした。性別欄がないと回答したのは三好を除く7市と、藍住など6町の計13市町。いずれも2019年度以降に廃止した。三好、勝浦、佐那河内など1市9町1村は性別欄を残したままで、具体的な廃止時期も決まっていない。

 投票所での投票結果は「投票録」に記録することになっており、公選法施行規則にある投票録の様式では、男女別の有権者数や投票者を記載するよう定めている。総務省によると、入場整理券は、投票所での本人確認のために市町村選管が発行。記載内容について法令に定めはなく、各選管に委ねられている。

 

 8月1日に投開票された町議補選から性別欄をなくした松茂町は、廃止理由について「選挙人名簿で男女別の集計が可能」と回答。19年度の参院選からなくした鳴門市は「『トランスジェンダーの人は入場券の男女表記を見るだけで精神的なストレスがかかる』といった声が聞こえてきた。全ての選挙人が投票にストレスを感じないよう表記を外した」とした。

 一方、性別欄を廃止していない勝浦町は、その理由について「選挙人名簿と投票所入場券でダブルチェックして集計している」と答えるなど、事務作業で不都合があるとするケースが少なくなかった。ただ、性別欄のある11市町村のうち三好や板野、つるぎなど5市町は「周りの市町村の対応や社会情勢を考慮し、今後廃止する予定」「近年の情勢を踏まえ、集計可能な他の表記方法を検討していく」などとした。

 徳島市に住むトランスジェンダー男性は「以前、投票所を訪れた時に性別欄の記載と見た目の性別が違うことから職員に変な目で見られて嫌な思いをし、投票したくなくなった。事務に支障がないなら、性別欄はなくしたほうがいい」と話した。

四国大の本田利広教授(地方自治論)の話

 

 既に性別欄をなくした自治体が答えているように廃止しても事務作業に大きな支障はないため、今後はなくす自治体が大半を占めるだろう。廃止した場合は、各投票所での事務が滞らないよう十分に打ち合わせをした上で臨んでほしい。