幼子が書いたこんなにも切ない文章を、かつて見たことがない。母親に宛てた、読んでこんなにもつらく悲しくなる文章を知らない

 <きょうよりか もっともっとあしたはできるようにするから もうおねがい ゆるして ゆるしてください おねがいします>。虐待を受けて亡くなったとされる東京都目黒区の船戸結愛ちゃんは当時5歳だった

 継父(33)と母親(25)から食事も十分に与えられず衰弱し、医師にも診せてもらえなかったという。5歳児に<おねがい><ゆるして>と言わせるとは。「鬼畜」の言葉しか浮かばない

 わが娘が幼いころ、メモ帳に書いた手紙を何度かもらったことがある。いつも短い文だが、うそ偽りのない正直な内容だった。結愛ちゃんも、けなげに信じていたはずだ。一生懸命に謝って、もっといい子になれば優しくしてくれる、と

 しつけと称して、午前4時からひらがなの書き取りをさせられていた。覚えたての文字で書いた文章がこれかと思うと、また切ない

 森永製菓が公募している母の日の小学生手紙コンクールで、昨年最優秀に選ばれた作品の一部を紹介する。5年男児が書いた。<…つないで帰ったその手が、あたたかくて「まけるな」って言ってるみたいだった。…ありがとう>。結愛ちゃんもきっと<ありがとう>とつづりたかったろうに。