特別講座で展示される歌川広重「六十余州名所図会 阿波 鳴門の風波」の初摺(中外産業所蔵)

 徳島市出身で、経団連常任理事を務めるなど経済界で活躍した原安三郎(同市名誉市民、1884~1982年)が収集した貴重な浮世絵を紹介する特別講座が、7月21日午後1時半から徳島市シビックセンターで開かれる。葛飾北斎や歌川広重の代表作を中心に約30点を展示し、国際浮世絵学会理事の小池満紀子さんが解説する。原のコレクションが県内で公開されるのは初めて。

 展示は、藍玉を商う家に育った原と縁が深い「藍色」をテーマに構成。葛飾北斎「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏(なみうら)」、歌川広重「六十余州名所図会 阿波 鳴門の風波」などの名作が、初摺(しょずり)ならではの鮮やかな色合いで楽しめる。藍の濃淡だけで刷った「藍摺絵(あいずりえ)」のコーナーもあり、浮世絵に使われた藍色の変遷をたどる。

 原は徳島市二軒屋町生まれ。総合化学メーカー日本化薬の社長、会長を務め、経団連の常任理事や政府税制調査会長を歴任した。原が収集した浮世絵約2500点は、希少性と保存状態の良さから近年、高い評価を受けている。

 講座は、収蔵品を管理する中外産業(東京)が徳島県の定める「とくしま藍推進月間」(7月)に賛同し、同社の創立90周年記念事業として企画した。

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 入場は無料だが聴講券が必要。希望者は往復はがきに郵便番号、住所、氏名、年齢、参加人数(1枚につき2人まで)、電話番号を明記して〒100―0005 千代田区丸の内2―1―1 中外産業「徳島特別講座」係宛てに送る。定員120人で、応募者多数の場合は抽選。締め切り6月22日(消印有効)。