新型コロナウイルス対応が最大の焦点となった先の横浜市長選で、菅義偉首相が全面支援した元自民党衆院議員が惨敗し、首相の不人気ぶりが改めて浮き彫りとなった。各報道機関の内閣支持率も下げ止まる気配がない。

 秋の衆院選を控え、自民党内には危機感が強まっているという。そうであるなら党総裁選を局面打開の契機にしなければならない。

 きのう、総裁選の日程が決まった。来月17日告示、29日投開票で国会議員票と党員・党友票で競う。再選を目指す菅首相と前回2位だった岸田文雄前政調会長を中心にした選挙戦となる見通しだ。

 複数の候補が名乗りを上げ、苦境にあえぐ国民の要望に沿った活発な政策論争が展開されれば、関心も高まろう。

 前回の総裁選は、二階派を率いる二階俊博幹事長の菅氏への支持表明をきっかけに主要派閥が追随し、菅氏が圧勝した。今回は様相が一変。今のところ二階氏や安倍晋三前首相ら有力者らが首相支持を公にしているものの、派閥単位での目立った動きは見られない。

 菅政権は発足した昨年9月以降、自民党は国政補選や大型地方選で負けが込んでいる。衆院選へ向け最後の試金石と目された横浜市長選でも大敗し、党内に衝撃が走った。

 選挙結果を受け、首相は「謙虚に受け止めたい」と述べているが、強気の姿勢を変えておらず、国民の不安や不満に正面から向き合う考えはなさそうだ。

 「選挙の顔」として不信が広まるのも致し方あるまい。とりわけ、選挙基盤の弱いとされる各派中堅・若手の間で総裁交代を求める声が出ている。派閥が締め付けを強めれば、結束が乱れかねないばかりか、党への風当たりも強くなろう。

 現政権のコロナ対応には手詰まり感が漂う。医療崩壊の懸念も現実のものになりつつある。全国の新規感染者数は2万人を超す日が増え、重症者数は連日最多を更新している。

 政府は25日、緊急事態宣言を21都道府県に、まん延防止等重点措置の適用を12県に広げた。期限はいずれも来月12日までとしているが出口は不透明だ。

 コロナ下の政権運営が難しいのは間違いない。「総裁・首相を目指すのは火中の栗を拾いに行くようなもの」「コロナ禍の党内政局は世論の反発を招きかねない」といった指摘もある。

 しかし、多くの国民は効果的なコロナ対策や、生活の改善・好転につながる施策を待ち望んでいる。その思いに政権与党としてどう応えるのか。総裁選は候補者だけでなく、党の姿勢も問われている。