新型コロナウイルス禍が、ふるさと納税の追い風になったようだ。

 昨年度に全国の自治体が受けた寄付の総額は前年度を約4割上回り、過去最多の6724億9千万円に上った。ネットで返礼品を選び、受け取れることから「巣ごもり需要」が喚起されたとみられる。コロナで打撃を受けた地場産業や生産者らへの支援も目立った。

 徳島でも県と24市町村への寄付額は2割ほど増え、15億785万円と最多を更新した。だが全国的な伸びに追いつかず、全国最下位に沈んだ。

 ふるさと納税の趣旨は、寄付を通じて故郷や、応援したい自治体をもり立てることにある。県内自治体への寄付は低空飛行が続いており、全体としてファン獲得の努力不足は否めない。地域の魅力発信にもっと知恵を絞ってもらいたい。

 制度のゆがみも浮き彫りになっている。寄付すると返礼品が贈られ、寄付金から2千円を引いた額が居住自治体の住民税などから控除される仕組みで、寄付を多く受け取る自治体があれば、それだけ税収の減る自治体が出てくる。宮崎県都城市が全国最多の135億円の寄付を集めた一方、住民税の減収は横浜市が最も多く177億円に上る。

 寄付を多く得ようと、地元ならではの加工品を開発するなど、地域の振興や魅力向上につながる側面はある。だが豪華な返礼品を用意し、カタログ通販のような様相を呈していったのが実情だ。大阪府泉佐野市が高い還元率でネット通販大手アマゾンのギフト券を贈るなどして、巨額の寄付を集める例もあった。

 過度な返礼品競争を抑えるため、2019年6月に返礼品を「寄付額の3割以下の地場産品」に限定するルールが導入され、19年度は7年ぶりに寄付額が減少した。

 昨年度は、このルールをないがしろにするような自治体が見られた。国のコロナ対策補助金を利用し、自治体が返礼品として仕入れる肉や魚の値段は変えずに中身を増やして「容量2倍」などとPRするケースが相次いだ。

 問題は、多くの人が当初の趣旨から外れ、返礼品目当てで寄付先を決めていることだ。しかも、高所得者ほど寄付額の上限が高いため、高額の返礼品を受け取れ、税の優遇も大きい。

 制度の欠陥は明らかなのに、見直しの動きはない。菅義偉首相が総務相時代に提唱した肝いりの政策で、菅氏に問題点を指摘した総務官僚が「左遷」されたことも影響しているのだろう。

 寄付は本来、見返りを求めないものだ。返礼品の廃止を含め、制度の再構築を検討すべきである。