第2室戸台風の被害状況などの調査を進めている徳島大の中野晋特命教授(地域防災学)は「過去最大級の台風が直撃した場合、小松島市以北では南海トラフ巨大地震で想定される津波を上回る浸水被害が出る。浸水の長期化も予測される」と警鐘を鳴らす。「備え」の留意点などを聞いた。
高潮が津波と異なるのは、暴風雨を伴う複合災害をもたらす点だ。台風接近時の避難は難しい上、2㍍以上の浸水が見込まれる地域では木造住宅が流失する可能性もある。早め早めの行動が命を守る鍵となる。
県の高潮被害想定では、県北部で浸水被害が多発する。被災エリアは広域かつ人口が多い地域にまたがるため、大勢が避難所に集中すると収容可能人数を超える恐れもある。ハザードマップで被害想定を確認した上で、安全な場所にある親戚や知人宅への避難を選択肢に加えておくのも一考だ。報道や気象情報で兆候を把握し、避難行動に結び付けてほしい。
台風通過後の課題も多い。停電や断水が相次ぐほか、排水ポンプ場が被災すると浸水被害が長期化する。非常用持ち出し袋を準備するとともに「マイタイムライン」(個人の避難行動計画)を各自で考え、被災時のイメージづくりをしておくことも欠かせない。
強風対策として、自宅の窓の内側に段ボールを張って補強したり、停電対策としてモバイルバッテリーを準備したりするのも非常に有効だ。日本沿岸の海水温は上昇しており、強い勢力を保ったまま上陸する台風が増えている。「自分にはどんな対策が必要か」。平時からこうした意識が念頭にあると、有事の際に必ず役立つ。