「左折しかできないのに、6灯も何に使ってるんだろうか」。徳島新聞メディア編集部は写真と共に書き込まれた、こんなつぶやきをツイッターで見つけた。写真を見ると、指定方向外進行禁止の標識があり、左折しかできないにもかかわらず信号機の下には3方向を表示する矢印信号が付いている。確かに不思議だ。この謎を解明するべく、編集部は現場へと向かった。

 

 吉野川橋の南詰め、徳島市上助任町大坪にその交差点はあった。東西に堤防道路、北側には吉野川橋があり、南へ進むと田宮街道(県道30号)に突き当たる。問題の信号は交差点の東西にある2基だ。

 

 堤防道路は交差点で左折専用レーンのみの車道となり、両信号ともに左折しかできないことを示す標識が付いている。しかし、信号機の下にはツイッターに掲載されていた写真のように三つの矢印信号が付いていた。現場でしばらく様子を見ていたものの、左以外の矢印信号が点灯することはなく、残念ながら謎を解明する手掛かりは得られなかった。

 

 そこで向かったのが徳島市万代町2にある徳島県警察本部の交通規制課。取材に対応してくれた交通管制官の高橋秀典さん(46)が、謎の答えを明かしてくれた。

 

 高橋さんによると、信号機がある交差点の下には県道アンダーパスがある。そのアンダーパスが冠水や事故の影響で通行できなくなった場合、左以外の矢印信号が点灯するという。問題の信号機のそばには、表示内容を変更できる「可変標識」があり、アンダーパスが浸水によって通行止めのときは「堤下道路冠水 直進・右折禁止解除中」の表示に変わる。しかし、それだけではドライバーに伝わりにくいため、矢印信号でも表示しているという。このような運用をしている信号機は県内でもここだけだそうだ。

信号機のそばに設置された可変標識

 信号機は1972年(昭和47年)3月に設置。このとき矢印信号はなく、15年後の87年(同62年)3月に矢印信号が付いたという。高橋さんは「詳しいいきさつは不明だが、混雑の解消や災害時のために設けたのだろう」と話した。

 直近では6月、アンダーパスで事故があったときに3方向の矢印信号が使われた。一見、使い道のないように思われた矢印信号だったが、万が一のときにとても役立つ信号表示だった。