7月にオープン予定の小規模醸造所の外観=神山町神領

 オランダから神山町に移住したマヌス・スウィーニーさん(38)=アイルランド出身=と、あべさやかさん(38)=三重県出身=夫妻が、同町神領に地ビールを手作りする小規模醸造所を建設し、7月にオープンさせる。神山の水や小麦など素材にこだわった地ビールを生産する予定で、10日にプレオープンイベントを開く。

 醸造所は木造1部2階建て92平方メートル。1階に240リットルのタンク3基を備えた醸造室と、ボトルビールの販売や飲食ができるスペースを設けた。2階は麦芽の粉砕室のほか、展望テラスがある。

オープンに向けて準備を進めるマヌスさん(右)とあべさん=神山町神領

 神山の梅や桜の木で香り付けしたアイリッシュ系の黒ビールや、神山の在来種の小麦を使った4種類のビールを作り、町内外の飲食店などで扱ってもらう計画。プレイベントでは、この4種類を提供する。

 マヌスさん夫妻は2013年、町の芸術家招致事業「神山アーティスト・イン・レジデンス」で3カ月間滞在したのを機に、オランダと神山を行き来するようになり、16年2月、町に移住した。

 夫妻によると、ヨーロッパではビールの自家醸造が一般的で、マヌスさんも趣味で楽しんでいたという。神山で暮らす中、地元の水や素材でビールを作りたいと考え始め、16年に醸造所の設立を決めた。合同会社を立ち上げて場所探しや資金調達などの準備を進め、今年3月に醸造免許を取得した。地元有志の協力も得て、醸造所の建設や機材の調達をほぼ終えた。

 マヌスさんは「神山ならではのおいしいビールを、町内外の人が楽しめる場所にしたい」と意気込んでいる。