オリックスグループ(東京)が美馬、神山、那賀3市町の境付近に計画している風力発電施設に対し、環境省は8日、風車の数を大幅に減らすことも含めた見直しを求める意見書をまとめた。ツキノワグマなど、絶滅の恐れがある希少動植物への重大な影響に懸念を示した。
意見書では、自然環境保全法に基づく特定植物群落に選ばれている「高城山のブナ林」、ツキノワグマ、希少植物のキリシマイワヘゴといった動植物に悪影響を及ぼす
恐れがあることを指摘。これら動植物の分布範囲を事業区域から除外するなどして影響の回避や低減を図るよう求めている。
また▽剣山や川井峠(美馬市)などからの景観▽工事中の土砂流出に伴う水環境▽登山道や遊歩道がある人と自然のふれあい活動|といった観点からの影響についても懸念を表明している。
今回の計画に関しては、徳島県も5月24日、希少動植物や景観などへの重大な影響を回避できない場合には事業の中止や抜本的な計画の見直しを求める意見書をオリックスに提出している。
県環境管理課は「環境省と県の意見は大筋で同じ。剣山や川井峠からの眺望など細かな指摘があり、オリックスには県と環境省双方の意見を尊重してもらいたい」としている。
環境省は8日付で意見書を経済産業省に提出した。経産省はこれを踏まえて意見を取りまとめ、月内にもオリックスに提出する。
オリックス広報部は「これまでにいただいた意見を踏まえて環境への影響を調査し、事業を次の段階に進めるかどうか慎重に判断したい」としている。
計画では、3市町の境にある天神丸と高城山の2990ヘクタールに最大42基、総出力14万4900キロワットの風力発電施設を設ける。