女性の書き手を対象にした「第17回女による女のためのRー18文学賞」(新潮社主催)の特別賞で、タレントの友近さんが選ぶ友近賞に、徳島市名東町2の作家山本渚さん(38)の「アップル・デイズ」が選ばれた。古民家で暮らし始めた母娘の成長や葛藤を、何げない日常の中でつづった作品。全国から561点の応募があった。
受賞作は、都会暮らしに慣れ親しんだ妻が、夫の転勤で移り住んだ田舎の生活に喜びを感じていく姿を描く。自然に囲まれて小学生の娘が成長していく過程や、夫との緩やかな対決などが印象的だ。
友近さんは「情景が浮かび、読みやすい物語だった。特にドラマチックな展開はないが、主人公に共感でき、しみじみとした感動がある」などと評価した。
山本さんは2008年、「吉野北高校図書委員会」でダ・ヴィンチ文学賞の編集長特別賞を受賞している。「アップル・デイズ」は育児で多忙な母親仲間らに気軽に読んでもらいたいとの願いを込め昨年秋、2週間ほどで書き上げた。山本さん自身、2児の母でもあり「受賞作が全国のママ友の心に寄り添うことになればうれしい。久々の賞なのでびっくりした」と喜びを語った。
賞金は5万円。贈呈式は18日、東京都新宿区の京王プラザホテルで行われる。
大賞は清水裕貴さんの「手さぐりの呼吸」、読者賞は夏樹玲奈さんの「空におちる海」だった。受賞作は「小説新潮」5月号に掲載された。