全国的に珍しいとされる「指定方向外進行禁止」に「車両進入禁止」のマークが入った交通標識が今夏、徳島県内から姿を消した。徳島新聞メディア編集部が8月中旬から珍しい交通標識の取材を進めていたところ、対応した徳島県警が「県外のドライバーが混乱する恐れがある」として同20日、「車両進入禁止」の表示をテープで覆うなど標識に修正を加えた。
標識は「指定方向外進行禁止」の本標識内に「車両進入禁止」のマークが加えられたもの。交差点が入り組んだ徳島市両国橋と同市城南町2、小松島市江田町中道の計3カ所にそれぞれ2~4基の計9基が設置されていた。現在は「車両進入禁止」のマークや時間の記載を同系色のテープを貼って見えないようにしている。マークは無くなったが、そもそもマークに向かう矢印はないため、従来の交通規制に変わりはないという。
標識を修正した理由について、県警交通規制課は「取材をきっかけに標識について改めて協議し、県外から訪れたドライバーが見慣れない標識に混乱する恐れがあると考えたために修正した。法的に問題があったわけではない」と説明。設置の経緯については「詳しいことはわからないが、古いもので10年を超える。交差点が複雑に入り組んでおり、ドライバーに標識を分かりやすく伝えるため、にこのデザインにしたのではないか」と推測した。
これまでに1700種以上の「指定方向外進行禁止」の標識を写真に収めてきた松江市の大学生山﨑賀功さん(19)は「以前は他県に同様の標識が設置されていたが、こちらは既に撤去されている。恒常的にあったのは徳島県のみではないか」と話した。
標識の修正に伴ってドライバーが混乱する可能性について、同課は「ドライバーは標識の知識を十分に理解しており、問題は起きないと考えている」とした。