福井県の男が首相官邸の屋上に落下させたことで注目を集めた小型無人機「ドローン」の利用が、徳島県内でも広がっている。手軽に空撮できるのが人気の理由で、企業や個人が少なくとも60機以上を所有しているとみられる。今回の事件を受けて政府は飛行制限に向けた法整備の検討に着手したが、県内の利用者からも安全対策を求める声が上がっている。
美波町山河内の農業春田裕計さん(56)は、昨年3~7月に3機をインターネット通販で購入した。これまでに150回以上飛ばし、地元の風景を撮影。フェイスブックで映像を公開している。
ドローンは優れた制御システムを備え、高度な操縦技術がなくても安定した飛行ができる。「操縦機から手を離せばホバリング(静止)する。簡単に飛ばせて、迫力ある映像が撮れる」と春田さんは言う。
だが、春田さんは購入後すぐ、自宅近くの畑で20メートルほどの高さから墜落させた。モーターの故障が原因で、「テロのような悪意がなくても、危険性はある。事故防止に向けたルール作りが必要だ。技術や安全対策を教え合うコミュニティーができれば」と話す。
20万円ほどの普及機を使っている県北部の自営業男性(43)も、昨年8月に1メートルの高さから墜落させた。原因はバッテリーの消耗。モニターの警告に気付かなかった。「人が多い場所では怖くて飛ばせない。正しい知識を学ぶ講習会があればうれしい」と語る。
ビジネスでの活用も進む。写真・映像制作のエムエスアイデザイン(三好市)は、昨年10月から空撮事業を始めた。一眼レフカメラを搭載できる直径1メートルの本格的な機種など3機を導入。撮影料は5万円からで、山林の植生調査や工事現場の撮影依頼があった。
規制強化で業務での利用に支障が出る恐れもあるが、坪根道生代表(49)は「最低限のルールは必要。ただ、高度や飛行距離などを一律に制限されると困る。飛行地域や機体の性能に応じた資格制度を設けるなど柔軟に対応してほしい」と求めている。
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