阿南市教委は、同市加茂町の一宿寺から四国霊場21番札所・太龍寺(同)までの古い遍路道「かも道」(全長4・4キロ)の一部1・34キロを国史跡に指定するよう文化庁に申請した。かも道は南北朝時代から使われていたとされ、荒れ地となっていたが、市や住民が整備して復活させた。「四国八十八カ所霊場と遍路道」の世界遺産登録への機運が高まる中、地元住民は指定に期待を寄せている。
市文化振興課によると、かも道には貞治年間(1362~1367年)に設けられた丁石(札所までの距離を示す道標)など、文化的に貴重な石造物が多く残っている。また、1641(寛永18)年の「阿波国大絵図」や1687(貞享4)年の「四国遍路道指南(みちしるべ)」に記述があることなどから、四国遍路最古の遍路道と考えられている。
鶴林寺(勝浦町生名)から太龍寺へ向かう主要な遍路道だったとされるが、江戸時代に近道が開拓されたことで人の往来が減り、廃道となっていた。
しかし、市などが「四国遍路を考える上で、かも道は外せない」と2010年から測量・学術調査を開始。その後、住民らに呼び掛けて整備して復活させた。13年には住民団体「加茂谷へんろ道の会」が発足し、かも道の魅力をPRしている。
同会の横井知昭会長(69)は「指定されれば、私たちにとって大きな励みになる。指定距離を延ばすなど一歩一歩積み重ねて、世界遺産登録に弾みをつけたい」と話している。
文化審議会に諮問され、今夏にも答申が出される見通しだ。
県内の遍路道では、10年8月に太龍寺と20番札所・鶴林寺周辺の「太龍寺道」「鶴林寺道」など計4・5キロが国史跡に指定された。13年3月には太龍寺と22番札所・平等寺(阿南市新野町)を結ぶ「いわや道」「平等寺道」の一部2・75キロが追加指定された。
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