全身の筋肉が萎縮する筋ジストロフィー患者で1人暮らしを実現した内田由佳さん(35)=徳島市八万町=が、障害者の手助けをしようと「自立生活センターとくしま」を立ち上げた。自立を目指す障害者の相談に乗るほか、啓発イベントなどを催す。活動の第1弾として17日、障害者の自立を描いた記録映画の上映会を徳島市の県教育会館で開く。
内田さんは美馬市出身。生まれつき筋ジストロフィーを患っており、病状が徐々に進み、現在は車いすと呼吸器の使用を余儀なくされている。
それでも2015年、県内で初めて障害者総合支援法に基づく24時間体制の自立支援制度「重度訪問介護」の認定を受け、16年3月から1人暮らしを始めた。5人のヘルパー(1日2交代)の介助を受け、買い物にも出掛けている。
「自分で1日のスケジュールを立てるなど、生活をつくり出しているのが楽しい」と内田さん。自分の世界が広がった経験を伝え、自立を諦めている障害者の背中を押したいとの思いから自宅にセンターを置いた。
上映会は2部構成。午前の部は、地域で生き生きと暮らす重度障害者の姿を描いた「風は生きよという」(宍戸大裕監督、81分)。午後の部は、東みよし町出身の映画監督真鍋俊永さんの作品で、特別支援教育の対象児童が一般教室で学ぶ大阪の小学校に密着した「みんなの学校」(106分)を上映する。
7月15日には、内田さんら自立生活を送る障害者による講演会を開く予定。
内田さんは「障害者が社会と関わり、健常者が幼いころから接する機会があれば偏見や差別がなくなるはず。制度に支えられながら健常者と同じように自立した暮らしができる環境づくりに一役買いたい」と話している。
上映会は午前10時からと午後1時から。1作品500円、2作品800円。障害者手帳の提示で同伴者2人まで無料。問い合わせは自立生活センターとくしま<電050(5896)8794>。