昨年4月の徳島市長選で「給与50%カット」を公約の一つに掲げて当選した内藤佐和子市長。今年3月までは公約通りに半額としていたが、4月からは満額を受け取っている。9日、市議会本会議の代表質問で、加戸悟氏(共産)が「提案権がある。公約した通り、市長給与50%カットを議会に提案すべきだ」と問いただした。内藤市長は給与減額の議案提出はせず、満額支給を継続する意向を改めて示した。

<経緯>大きくアナウンスはされていなかったが、「給与50%カット」の公約には「財政状況の好転が見られるまでの間」という条件が付けられていた。市議会3月定例会で、市長は「財政状況に好転の兆しが見えてきた」として、削減率を15%に緩和する条例改正案を提出。緩和を阻止したい野党議員のほか、与党議員の一部が削減率をゼロに戻す目的で反対に回り、改正案は否決された。給与50%カットの期限は3月末日までだったため、結果、4月から市長は給与を満額受け取っている。

 質問と答弁の要旨は次の通り。

加戸氏「市長が事前の擦り合わせを拒否したので、賛成できないが、擦り合わせなしに質問する」

加戸氏 6月本会議での市長発言について述べておく。市長は「質問と答弁を事前に擦り合わせすることは、意見を戦わせないことを意味する」と発言し、事前の擦り合わせを拒否された。私は小池市政、原市政時代も含め議会活動をしているが、「事前の擦り合わせをすることで意見を戦わせない」という事態を招いた記憶はない。

 全国には一問一答などいろんな本会議のやり方がある。徳島市議会の場合、3回の登壇で時間も制限されている。事前の擦り合わせをすることで、市民により分かりやすく、市政の情報を発信してこられた、そう思っている。そのやり方を答弁する側のトップである市長が拒否した。私はこんなやり方には賛成できないが、仕方がない。事前の擦り合わせをやめ、質問することにする。

 もう一つは反論権、反問権について。反論権とは、質問議員に対し、市長や理事者が反論意見を述べることができる権利。反問権とは議員からの質問や質疑の趣旨や内容を確認するため、市長や理事者が質問議員に逆質問できる権利。反論権、反問権だが、議会条例で定められる。全国では6割を超える自治体で定められるが、徳島市にはないため、反問権、反論権が行使できない。ところが、行使できないはずの権利を使っている方がいる。一番目立つのが内藤市長だ。今まで、黙って聞いていたが、この議会から市長や理事者から反問権、反論権を含む答弁が出ると議長に対し、動議を提出する。

「内藤市長、遠藤前市長の月額給与とカット率は?」

 内藤市長の給与について尋ねる。内藤市長には就任から現在まで、月額いくらの給与が支給されてきたのか。また遠藤前市長はどうだったか。カット率も合わせてお答えください。

総務部長「遠藤前市長はH28、29年度は満額。30年度、R元年度は15%カット。内藤市長はR2年度は6月からは50%カット、3年度は満額」

総務部長 遠藤前市長の給与月額は平成28、29年は月額111万8000円でカットはゼロ。30年度は111万8000円を15%カットして95万300円。令和元年度も111万8000円だが、引き続き15%カットして月額95万3000円(➩その後、訂正)。

 内藤市長は令和2年4月から5月は月額111万8000円でカットはなし。 6月から翌年3月まで111万8000円を50%カットして、月額55万9000円。令和3年度については、3月議会で市長含む特別職の給与カットの条例議案が否決されたため、月額111万8000円となっている。

総務部長 数字の誤りがあるので訂正する。令和元年度の遠藤前市長のカット後額として95万3000円と述べたが、95万300円だ。

加戸氏「選挙公報には目立つように『50%カット』とある。公約通り、給与50%カットを議会に提案すべきだ」

加戸氏 6月議会閉会後に開かれた市長記者会見で、記者から「選挙公約は給与50%カットだったんじゃないんですか」と問われたのに対し、私もこれをYouTubeで見たが、内藤市長、あなたは「公約は50%カットだったんですか」と逆質問している。

昨年4月の徳島市長選挙の選挙公報に記された「給与カット」についてただす加戸氏=9日午後、徳島市議会議場

 (フリップを見せ)1年半前の選挙公報だ。「徹底した行政改革のスタートとして市長給与50%カット」と一番目立つように、これだけ書かれている。(拡大した写真を見せ)こちらは内藤市長の候補者カー。一番後ろに、「市長給与を50%カットします」と大きく書いて、市内を駆け巡った。紛れもなく、内藤市長、あなたの一丁目一番地の選挙公約は市長給与50%カットだ。内藤市長、あなたと同様に給与50%カットを公約にした阿南市長は任期中、つまり4年間の公約として、給与50%カットを貫いている。小松島市長も、コロナが落ち着くまでは給与カットすると表明し、続けている。それが市長としての当たり前の姿じゃないのか。ところが、内藤市長、あなたはわずか9カ月間、選挙が終われば、はい、終わりです。あまりにも、市民をバカにしていませんか。選挙公約の給与50%カットについて、記者会見で指摘された内藤市長、あなたは「満額支給をこれからも続ける」。こう言い放ったんです。私はあきれ果ててしまった。市長に尋ねる。あなたには提案権がある。公約した通り、市長給与50%カットを議会に提案すべきだ。いかがでしょうか。

加戸氏による代表質問=9日午後、徳島市議会議場

内藤市長「3月議会で給料減額に係る条例議案が反対多数で否決された。否決すると満額支給になることはご承知の通り。加戸議員も反対したと記憶する。議会の判断は重い」

内藤市長 市長選挙の際の公約の一つには、徹底した行財政改革をスタートさせる覚悟を市民に示すために、財政状況の好転が見られるまでの間、市長の給与月額を半減させます、がある。

 市長に就任して早々、厳しい財政状況にあるということを市民に分かりやすく示し、理解してもらうことが何よりも大切であると考え、昨年5月8日の臨時会で公約通り給与50%カットを実施し、徹底した行財政改革をスタートさせる覚悟を示した。本年3月には新たな総合計画とも連携を図った行財政改革推進プラン2021を策定し、4月から同プランを着実に推進していくことで環境の変化等にも柔軟に対応できる持続的な行財政運営に一定の成果が期待できる環境が整った。

 また、私が就任する前の令和元年度の一般会計決算は実質収支で約3億円の黒字だったが、実態は市税をはじめとする主要一般財源収入が前年度を下回ったことなどにより、財政調整基金500億円を取り崩さなければ約3億円の赤字決算だった。こうした厳しい財政状況を踏まえ、令和2年度においては歳入面では歳入の根幹を成す市税や地方交付税など主要一般財源収入の増加に加え、ふるさと応援寄付金の取り組み強化など積極的に財源の確保に努めたことや、歳出面において徹底した経費の抑制に取り組んだことなどにより、実質収支で約7億5000万円の黒字、実質単年度収支で約5億円の黒字となった。また、主要基金である財政調整基金および減債基金については平成30年度以来の基金取り崩しゼロを達成し、両基金を合わせた令和2年度末の基金残高は前年度より約1億6000万円増加の約56億円となった。さらに、財政の健全度を示す指標である健全化判断比率についても、実質公債費比率をはじめとする四つの指標全てが前年度決算より改善した。

 今年3月議会において、私を含む特別職の給料減額に係る条例議案を提出したが、反対多数で否決された。そもそも給料減額に係る条例を否決するということは現行の条例に定めた給料額すなわち満額支給になることは、皆さんご承知の通りだと思う。このことは長年議員を務めておられます加戸議員も当然ご承知のことと思うが、記名投票による採決において、加戸議員ご自身も反対されたと記憶している。

 申し上げるまでもなく議会に提出した議案が否決されるということは、市民の負託を受けて当選した議員で構成された議会が執行機関の監視機能を果たすための一つの結果であり、その判断は非常に重いものであり、私自身同じく市民の負託を受けて当選した市長として十分に認識しているつもりだ。また、3月議会の給与に係る条例議案に賛成した複数の議員から「市長はよく働いている。特に暗礁に乗り上げていた新ホール整備は県立ホールとして整備されることで大幅な負担軽減を図っている」「民間事業者との連携協定を活用した本市が抱えるさまざまな課題解決へ取り組み、中心市街地のにぎわい再生などにも取り組んでいる。給料減額などする必要はない」との話もいただいている。執行機関のトップとしてこうした状況がある中で、一度議会で判断された給料減額に係る条例議案を提出していくことはできないと考える。

加戸氏「私を含む11名は『公約違反』、ほかの5名は『満額支給にすべきだ』等の理由で反対した。この否決よりも、選挙公約の方が重い。選挙中は市長は『遠藤氏は給与を上げた』と演説したが、答弁の通り、2年間15%カットしている」

加戸氏 給与の満額支給を続ける理由を、私の名前も使って述べていただいたが、要は「議会の議決が重い」と言っている。記者会見でもこう発言された。議会で市長が提案した条例は15%カットだ。私も含めた11名の議員は「50%カットの公約違反だ」と、15%カットの条例に反対した。ほかに5名の議員が「満額支給にすべきだ」などの理由で条例に反対し、市長が提案した15%カット条例は否決され、満額支給になった。満額支給の立場はわずか5名ほどの議員にすぎない。この否決が重いんですか。重いのは、給与50%カットの選挙公約でしょう。阿南市長や小松島市長のように50%カットに、あなたはいつでもできるんですから。提案するべきだ。多くの市民がコロナで苦しんでいる中での公約破り。絶対に許せない。

 先ほどの候補者カーのパネルだが、記憶に残っていると思うが、「市長給与を50%カットします」と大きく書かれた車の上で、内藤候補は「遠藤市長はこの財政状況が厳しい中で、自分の給与を何度も上げているのをご存知でしょうか。私は半額でやります。私に任せてください」と演説した。答弁されたが、遠藤前市長の給与は平成30年度に15%カットして以降ずっと15%カットのままだった。内藤市長、あなたはうそをついて演説した。そして市長になった。わずか1999票差の当選だ。この演説を聞く多くの市民からも、内藤市長リコールの声が起きているのは当たり前だ。