谷から上がってきたキツネ。目はカメラのフラッシュを反射している=5日午後6時半ごろ、北島町中村

谷から上がってきたキツネ。目はカメラのフラッシュを反射している=5日午後6時半ごろ、北島町中村

 徳島県北島町中村の徳島県道松茂吉野線沿いにキツネがすみ着き、住民の話題になっている。山がなく、都市化が進んだ同町でのキツネ目撃は珍しい。

 現場は松茂町との境近くで、県道北側の谷に巣があるとみられる。暗くなると姿を現し、徳島自動車道の側道などに出没する。警戒心が強く、人が近づくと逃げる。

 周辺を毎日散歩している地元の男性(72)によると、最初に目撃したのは2015年3月で、約1キロ北にある松茂スマートインターチェンジ付近だった。多いときは毎日のように現れ、今年は2匹見掛けるという。

 近くの県道は1日約2万3千台の車が通る幹線道路で、沿道には店舗が並んでいるが、キツネのいる一帯は林や芋畑になっている。山下さんは「散歩している人たちとキツネの話をするのがあいさつ代わりで楽しみ。いつまでも自然を残してほしい」と話す。

 四国ではキツネの目撃例が少なく、弘法大師が四国から追い出したという伝承が残るほどだが、25年ほど前から増えている。県立佐那河内いきものふれあいの里の市原眞一自然観察指導員は「山から餌を求めて下りてきている。いい餌場を見つけて居着いているのだろう」とみる。

 キツネは、人が感染すると重い肝機能障害を起こす寄生虫エキノコックスを持っている可能性がある。市原さんは「近づいたり餌をやったりしないで」と呼び掛けている。