今夏、新型コロナウイルス禍の中で徳島市が主催した阿波踊り。徳島市議会9月定例会の代表質問で事業費を問われた市は「約3000万円と見込まれる。内訳は産業交通委員会で報告する」と詳細を明らかにしなかった。本会議はケーブルテレビで放映され、会議録も市議会ウェブサイトで公開されている。一方、委員会は公開で、傍聴はできるものの、ケーブルテレビでの放映や会議録のウェブ公開はない。10日の市議会一般質問で、船越智子氏(共産)は「市民の血税が使われている。内訳をすべて市民に明らかにすべきだ」と問いただしたが、市は「委員会で報告する」と従来の答弁を繰り返した。

 質問と答弁の要旨は次の通り。

船越氏「阿波踊り事業費の内訳は?」

徳島市が主催した阿波踊りについて質問する船越氏=10日午後、徳島市議会議場

船越氏 市長の「擦り合わせをすると、けんけんがくがくと意見を戦わせられない」といった発言により、(質問と答弁の)事前の擦り合わせをしていない。質問の答えのみ、端的にお答えください。

 開催時期が帰省シーズンとも重なり、感染拡大が懸念される中だったが、コロナ禍におけるニューノーマルモデルとして徳島市の主催により開催された。「伝統の灯を消さず、継承するため」として、市は県内外から参加連を募ったが、市が案内状を出した8割もの連が参加を見送るなど、出演者の確保が見込めず、当初の約1億円の事業計画から規模、日程などの大幅な見直しを余儀なくされた。

 新聞の検証記事にもこう記述があった。「運営も事業計画も中途半端。すべてにおいて唐突な感じだった。対応も不誠実に感じた」。外野から見ていた多くの市民もそう感じていたはずだ。開催直前のネットアンケートでも8割もの開催反対の声があったが、その声は残念ながら事業には反映されていない。お尋ねする。今回開催された阿波踊りの総事業費について、9月議会の代表質問に「約3000万円を見込んでいる」と答えられた。何にいくら出したのか、すべてお答えください。

 また、全国各地の祭りでは自治体が主催で開催費まで負担するような例はないと聞いているが、本当か。お答えください。

 阿波踊りは例年なら前夜祭を含む8月11日から15日の5日間だが、今年は前夜祭、2日間の選抜、グランドフィナーレの4日間に変更になった。しかも今年の選抜公演には出演者の人数を確保するためか、学生連が出演することになり、通常は有料の入場料は無料になった。前夜祭はアスティとくしまの大ホールから今年はあわぎんホールで開催。最終日8月15日には前夜祭や選抜に参加できなかった一般連の救済措置として、急きょ踊れる場を設けたグランドフィナーレが田宮の陸上競技場にて無観客で開催された。これには直前に改めて参加者を募ったが、有名連は振興協会15連のみ。一般連で手を挙げたのは学生連も含めた6連だけ。当日踊ったのはさらに少ない5連だけだった。

 グランドフィナーレの最後に「市長のサプライズ」として眉山山頂から打ち上げられた約150発の花火は、インターネット中継など見られない、見ていない市民にとっては突然で、「一体何が起こったのか分からなかった」「花火とは分からず結局、何も見られなかった」というものだった。阿波踊りの花火には100万円あまりかかったと聞く。コロナ対策費を含む市民の税金が使われていたことに、市民は憤りを感じている。

 今回はコロナ感染リスクを回避するために出演者や観客は県内在住者に限定されていた。しかし、県外から観客が来たのを私もニュースで見て驚いた。広報だけして、来る人の責任にする、お任せ、では感染対策はできていないのも同じだ。感染リスクを避けるためにチェックをしなかった、 では済まされない。その上、リハーサルも本番も感染対策の専門家は立ち会っていないと聞いている。昨年11月のネクストモデルの経験は一体どう生かされたのか。これでコロナ禍のニューノーマルモデルにふさわしい、今後のスタンダートとなる企画だったと言えるのか。単に場当たり的な代替企画だったのではないか。

「8月前半、後半のコロナ新規感染者数は?」

船越氏 7月21日、徳島でもデルタ株が確認され、国内感染者が過去最多を更新し、とくしまアラート感染拡大注意漸増が発動。徳島でも30代までの若年層の感染割合が高まっていた。また、新たに県は8月2日から人流の増加の状況を見て、8月6日に月末までを第5波警戒強化期間と位置付け、感染防止対策の徹底を市の職員とともに徳島駅前で呼び掛けている。県からのとくしまアラートのお知らせには「この夏、変異株による最強クラスの感染の波にさらされている。感染予防を徹底し、みんなで過去最大級の危機を乗り越えよう」と強調されていた。夏休みやお盆で人出が多くなる。広域移動による感染拡大が懸念されていた。

 お盆前の8月11日には(県の分析による京都、大阪、兵庫からの人流は)既に徳島駅前で(3月22日から4月4日の一日平均来県者の)210%、富田町・秋田町周辺では128%だった。8月13日は徳島駅前で228パーセント 富田町・秋田町周辺で347%だった。お尋ねする。徳島市の8月の新規感染者数について、お盆までの8月1日から15日までの半月の合計と、お盆後の8月16日から31日までの15日間の合計、それぞれお答えください。

経済部長 「総事業費は約3000万円の見込み。内訳は委員会に資料を出す」

経済部長 総事業費の見込み約3000万円の内訳についてだが、昨日、一昨日の本会議で答弁したように、詳しい収支を所管の産業交通委員会で提出していきたいと思い、現在資料の最終完成に向けて調整している。内訳については、当初、6月10日の6月議会開会日に先議で可決いただいた予算で説明した感染症対策実施費であるとか、チケット販売手数料、会場設営業務委託費、運営業務委託費、警備業務委託費、踊り連の演出委託費などがあるので、それについて詳細を資料提出して説明したいと考えている。

 自治体が開催するイベント(の開催費)を自治体が負担することはあるのか、という質問について。全国の状況を踏まえると、徳島の阿波踊りや青森ねぶた、高知よさこい、博多どんたくといった大きな祭りにおいては、行政が補助金として負担をしているような状況がある。ただ、本年度私どもが議会から予算をいただいて開催した2021阿波おどりニューノーマルモデルについては、コロナ禍の中でのイベントということで、興行的な要素ではなく市が主催する文化的な要素のイベント、主催事業という位置付けで実施したという認識を持っている。

危機管理局長「8月前半の新規感染者は64名、後半は390名」

危機管理局長 8月の新規感染者数について。8月1日から15日まで徳島市在住者で64名新規感染者が出ている。8月16日から31日までは390名。

船越氏「踊り連への出演料500万円、花火代100万円というのは本当か?」

徳島市議会9月定例会の一般質問=10日午後、徳島市議会議場

船越氏 事業が終わっているのに、具体的な使い道や金額が産業交通委員会に出されるということで、今回は出されなかった。異例の徳島市主催で、コロナ対策費と市民の税金が使われている。すべて市民に明らかにするのは当たり前のことだ。不透明では市民は納得しない。LEDのお城のときのように(情報公開請求に対して出てくる書類が)黒塗りの報告では許されない。

 答弁いただいたように、自治体主催でお金も出してるところはないと思う。先ほどの答弁では「文化的事業」とおっしゃったが、それなのに経済部長が答弁されたのに疑問が残る。

 お祭りに関して、自治体もお金を出している。これは異例だと思う。使われているのはコロナ対策費と市民の血税だ。伝統の阿波踊りの継承が目的ならなおさら連の皆さんの参加費をもらって開催すべきものだ。興業の要素はない。阿波おどり振興協会の常任理事も2018年のマスコミ取材に「僕らはお金もうけで踊っているのではない」と言っている。阿波踊りで打ち上げられた花火には100万円あまり使われていたと聞いた。

 連に出演料として500万円支払われることを報道で知った方から「なぜ500万円も払うのか」という声が届いている。徳島市の新規感染者数は(8月の)前半と後半で、大きく離れた数字だった。約6倍から7倍に急増している。お盆での人流の激増が、その後の感染者数にしっかりと出ている。

 8月15日に総踊りの後、打ち上げで飲食店に行き、感染が広がったといううわさが市民の間に大きく広がっている。阿波踊り開催が人の流れを作り、感染が拡大した。この間、徳島市ではコロナ対策費やLEDのお城に2000万円使われ、全国でもおかしいと話題になった。今回も花火に100万円あまり、連に500万円も支払うとなれば、市民感情として考えられない。コロナ対策費はコロナ禍で大変な思いをされている方に使われるべきだ。改めてお尋ねする。本当に花火に100万円あまり、踊り連に500万円のコロナ対策費が使われたのか。お答えください。

経済部長「経費詳細については公式に取材にも応じていない。お答えしかねる。委員会で報告する」

経済部長 「踊り連の出演料に500万円、花火に100万円が本当にかかったのか」ということだが、私どもはまだ詳細の経費については公式的に取材にも応じておらず、お答えしかねる。「振興協会が総踊りの後で打ち上げをして、コロナ感染者が出た」というのは、うわさということなので、これについても答弁はしかねる。

 収支の不透明なことについてご意見があったが、決して不透明にしているわけではない。きちっとした正確な数字にするため、現在も詳細な部分まで確認して産業交通委員会に提出する予定としている。経済部長として文化事業のことを答弁したが、これについては部局横断的に協力体制を取って市として一丸となっており、確かに経済部が所管しているが、阿波踊りは世界に誇る徳島の宝、伝統文化ということ、そして観光コンテンツ、いろんな要素があるので、こちらについて答弁した。