高さ5メートルもある「金長たぬき像」=小松島市

 スタジオジブリで数々の名作アニメを生み出した故・高畑勲監督も見学にやって来た。小松島ステーションパーク(徳島県小松島市)に鎮座する、世界一巨大な「金長たぬき像」である。

 自ら原作・脚本も手掛けた『平成狸(たぬき)合戦ぽんぽこ』の公開が約2週間後に迫った1994年6月30日。高畑監督は作品のPRとヒット祈願のため、作品にも登場する金長狸の地元・小松島を訪れ、ゆかりの場所を巡った。当時の徳島新聞には「金長狸の里を訪ねることができ感激した」とコメントしている。御利益もあずかってか、興業収入44億円超の大ヒットとなった。

 高畑監督も見上げた「金長たぬき像」は高さ、胴回りとも5メートルのでっぷりとした体形で、重さは5トン。「阿波」「小松島」と書かれた高張りちょうちんを掲げて、意気揚々としている。

 高張りちょうちんは、徳島の伝統芸能・阿波踊りに欠かせない道具だ。各連は連の名前を書いた高張りちょうちんを先頭に、演舞場に踊り込む。戦国武将が掲げた馬印・旗印のようなものだ。

 思えば、金長たぬきも一軍の将である。四国のたぬき界の総領であった「津田の六右衛門」と一戦を交えている。これが有名な「阿波狸合戦」であり、『平成狸合戦ぽんぽこ』のモデルの一つになった。

 金長たぬき像は小松島市が「ふるさと創生交付金」を活用し、1993年に整備した。さらに、ステーションパークの遊歩道沿いの植え込みには、金長の部下だった「参謀長・衛門三郎」「軍師・田浦太左衛門」「忍者・一本松のおたけ」「旗本・藤の樹寺の大鷹」「藤の樹寺の小鷹・熊鷹」と、「大将・金長」の計7体の石像も立っている。

 石像にはそれぞれ、「北辰一刀流の達人で、金長と大鷹の師匠でした」(田浦太左衛門)などの説明板が添えられていて、公園を散策しながら狸合戦の世界に触れることができる。

〈2021・9・16〉