滋賀県の琵琶湖を舞台に人力飛行機で飛距離を競う「鳥人間コンテスト2021」で、設立4年目にして悲願の初フライトを果たした徳島大の学生チーム。昨年は新型コロナウイルスの影響で大会中止という憂き目に遭った。7月にあった今年の大会は、引退を1年延ばして挑んだ4年生にとって大学生活の全てをささげた夢舞台だった。パイロットの八木橋依吹さん(21)をはじめ、横濵こころさん(22)、細羽敬太さん(22)=いずれも理工学部4年=の創設メンバー3人にオンライン取材し、集大成となったコンテストを振り返るとともに、初出場までの道のり、そして今後に向けて後輩たちへ託す思いなどを語ってもらった。

オンライン取材に応える八木橋依吹さん=徳島市

 ―初出場となった鳥人間コンテストを振り返って。

 八木橋 記録は66・67メートルで、目標の100メートルには届かなかったんですけど、悔しいというよりはすごい経験をさせてもらえて感謝の気持ちが大きい。個人的には自分たちが立ち上げた鳥人間プロジェクトをしっかりとやり切れたかなと思います。

 細羽 僕は機体を最後のプラットホームまで持って上がった後はすぐ解散でしたけど、現場でしか味わえない臨場感もあって全部が楽しかった。すごく良い思い出になりました。

 横濵 八木橋がけがもなく無事に終えられ、みんな元気に帰ってこられて本当にホッとしました。先日のテレビ放送を見て、改めて「4年間の挑戦が終わったやな」と実感しました。

 細羽 記録うんぬんよりもパイロットが無事に飛んでくれれば満足だったけど、フライト自体もけっこうきれいに飛べたと思っていて大満足しています。

 横濵 私も八木橋が飛べた姿を見られただけで十分満足。揚力で一度フワッと浮いた瞬間は本当に「飛べた」と思ったし、やってきたことは間違えてなかったと確信できました。

 八木橋 正直、4年目までがっつりやるとは思ってなかったけど、こうして思っていた以上の感動がありましたし、最後までやり切って本当に良かったなと思いますね。

オンライン取材に応える横濵こころさん=徳島市

 ―コンテストを目指した約4年間を振り返ってみてどう思うか。

 八木橋 出場まで順調にきたわけじゃなく、特に1年目の終わりがこれまでで一番つらかった。知識も何もない状態で始めたので作業が全然進まなくて、2年目に入る前にプロジェクトをこのまま続けるのか、解散するのかという話も出たぐらいでしたからね。

 横濵 結局8人いた同学年のメンバーが1年目の終わりに私ら3人だけになってしまって、そこから再始動できたのも今となっては奇跡だったなと思う。

 細羽 一番印象に残っているのが、他のプロジェクトの先輩にすごく説教されたこと。僕はその先輩を尊敬していたので、『このままだと何も残せんぞ』と喝を入れられて悔しかった。そこから気合を入れ直し、他の大学チームと交流することで後には引けない状態にしようと思った。

 八木橋 2年目に覚悟を決めるのが一番早かったのは細羽だったと思う。細羽のおかげで他団体との交流もどんどん始まって、私もリーダーとしてしっかりしないといけないと思うようになった。

 横濵 2年目に1年生がたくさん入ってきてメンバーがガラッと変わって、心機一転というか、もう一回新たに始める感じになったのも大きかった。

 細羽 そうするうちに、県外の社会人チームが資材を提供してくれたり、3年目に1号機ができたりして、鳥人間コンテストの出場が現実的になって、みんなのモチベーションも上がっていった感じだったね。

オンライン取材に応える細羽敬太さん=徳島市

 ―プロジェクト継続に向けて後輩へ託す思いは。

 細羽 今は地に足を付けて機体を少しずつ改良しながら、何年も連続出場できる力を付けることが大切。地味でつらいことが多く、楽しめる瞬間ってなかなかつかみづらいと思うけど、自分の代までやり遂げた時に楽しかったと言えるように今頑張ってほしい。

 横濵 細羽の言うとおり、楽しいことより大変なことが多いですけど、一つ一つしっかりと着実に進んでいってくれたら。やっぱり強いチームは大会を見据えた運営が上手ですし、その辺を見直して、何人かで少しずつ役割分担しながら取り組めると、もっとスムーズにいくことも伝えたい。

 八木橋 今回初出場した勢いのままプロジェクトを軌道に乗せてほしい。鳥人間コンテストは初出場よりも2回目の出場が難しいと思うけど、後輩たちは人数も多い。お互いに支え合ってチーム力をもっと上げて連続出場を目指してほしい。そしてとにかく最後までやりきって、自分が誇りに思えることをつくっていってくれればと思います。

中止になった昨年の大会の申し込み書を投函した時の(左から)横濵こころさん、八木橋依吹さん、細羽敬太さん=2020年2月、徳島市