渋沢栄一がフランスに行った当時、使われていたコーヒー豆の焙煎機(中央奥)やミル=徳島市山城西1のコーヒーワークス

小原博さんが契約しているイエメンのコーヒー栽培農家。収穫している豆はモカ(小原さん提供)

 「日本資本主義の父」と呼ばれる実業家の渋沢栄一(1840~1931年)が幕末にフランスで飲んだと考えられるコーヒーは、「モカ」に牛乳を混ぜたカフェオレだったようだ。徳島市山城西1の「コーヒーワークス」会長で、金沢大非常勤講師としてコーヒー豆や喫茶文化に関する授業もしている小原博さんが、文献を基に推定し、当時のコーヒーを再現した。

 小原さんによると、渋沢は1867(慶応3)年、15代将軍徳川慶喜の名代としてパリ万国博覧会に派遣された徳川昭武(慶喜の弟、最後の水戸藩主)に随行。フランスなどを歴訪中、コーヒーを日常的に飲んだことを航海日記に書いている。特に2月15日の記述には「食後カッヘーという豆を煎じた湯に砂糖、牛乳を混ぜて飲む。すこぶる胸中が爽やかになる」と感想を残している。

 小原さんは、日記の内容や当時のフランスの食文化、コーヒー豆の品種、いり方、飲み方を調べ、品種はアラビア半島南部のイエメンで収穫された「モカ」と推定した。豆の積み出し港の名に由来するモカは、16世紀半ばからフランスに輸入されているからだ。

 小原さんは、イエメンで契約した農園からモカの豆を入手。当時の製法を推測し焙煎(ばいせん)を深めにし、どっしりとした濃厚な味わいのコーヒーに仕上げた。後味に香辛料のようなスパイシーさが感じられる。店内ではストレートかカフェオレ(638円から)で提供している。

 小原さんは「NHK大河ドラマ『青天を衝(つ)け』の中でもコーヒーが登場した。文明開化の世を想像しながら、渋沢になった気持ちでコーヒーを味わってほしい。現地周辺が政情不安な年には入手が困難になるため、イエメン産のモカは極めて希少」と話している。

 店内にはフランスで当時使われていたコーヒー豆の焙煎機や手動式コーヒーミルも展示している。問い合わせは同店、電話088(655)8877。