大ホールの断面図。客席は宙に舞う花びらをイメージして配置し、各ブロックに専用のホワイエを設けた

石上純也さん

 県が徳島市文化センター跡地などに整備する新ホールの設計・施工業者の選定で優先交渉権者が決まった。設計を担当する建築家の石上純也さん(47)=東京=にコンセプトを聞いた。

 ―計画のタイトルは「舞うように集まる」。テラスをいくつも重ねて構成する斬新なデザインとなっている。設計のポイントを教えてほしい。

 ホールを巨大な箱ではなく、小さな場の集合体として捉えた。公演がない時でもみんなが日常的に使えるようにしたい。花びらをモチーフにした複数のテラスは、誰もが自由に活動できる場になる。ジャズや三味線のライブ、料理教室や囲碁大会など小さなスケールで気楽にできる。散歩に来てちょっと座る公園のような場所でもある。そんな半プライベートな空間が集まってにぎわいを生む。

 ―着想はどこから。

 阿波踊りの動きからイメージを膨らませた。阿波踊りは一人一人が好きに踊る中で、みんなが場をつくりながら華やかな群れになっていく。新しい人の集まり方を提案し、多様な人たちで華やぐランドスケープ(風景)をつくりたい。

 ―大ホールの特長は。

 花びらが舞うようにいろんな視点で演者を見る客席配置にした。日本のホール建築は、整然と並んで同じ方向を見る公会堂を基に発展してきた。それに対し、オーケストラピットがよく見える席など観客の好みに合わせて視点を選ぶことができる。客席のブロックごとに専用のホワイエを設けており、家族や仲間で貸し切って楽しむこともできる。多様な視点の客席とプライベート性を備えたホールは世界でも珍しく、新しい価値観を生むと思う。

 ―プロポーザルでは、まず設計者を絞り、そこで選ばれた設計者を含む共同企業体の計画を選考する2段階で審査が行われた。

 一般的なプロポーザルではここまで挑戦的な作品はなかなか選ばれない。(設計と施工を一括発注する)デザインビルド方式では実現性を重視して無難な建築になりがちだからだ。徳島から世界に発信でき、同時に歴史に残るような建築、そして末永く使っていける施設にしたい。