徳島市議3人が市職員への不当な要望・要求に関与した疑いがあるなどとした市の調査を受け、市議会は9月定例会閉会日の21日、地方自治法100条に基づく調査特別委員会(百条委)の設置を求める決議案を賛成多数で可決した。
 記名投票の結果、賛成18票、反対8票だった。決議案の説明、討論は以下の通り。

 

提案理由「このまま見過ごすようなことになれば、市民からの納得は得られず議会や職員に対する不信感が高まる」

井上武議長
 議員提出議案第7号「市の事務執行に対する市議会議員の関与に関する調査特別委員会の設置を求める決議案の提出について」を議題とする。提出者の説明を求める。


宮内春雄氏(朋友会)
 議員提出議案第7号、市の事務執行に対する市議会議員の関与に関する調査特別委員会、いわゆる百条委員会の設置を求める決議案について、提出者を代表して提案理由の説明を行う。

 去る8月31日開会の総務委員会において職員に対する不当な要望と不当要求に関する調査報告書が提出され、働き掛けを行った3名の議員について、不当な要望と不当要求が行われた疑いがあるとの認定にとどめるとの結果が報告された。同委員会の中で委員から「未聴取となっている議員3人に対して聴取することは考えていないのか」という質問に対し、理事者側から「専門委員は調査における認定によって訴訟も含めたさらなる紛議が発生する可能性を考慮し、民事、刑事の裁判において証明できるか否かとする最も厳格な基準をもって判断することが相当であると考えた。こうした判断基準の下、職員に対する聴取レベルで確定的な事実認定に至らなかった以上、議員に対する聴取をするまでには及ばなかった。仮に職員の聴取によって認定できるレベルにあれば、弁明を聞く機会が必要となるため、議員に対する聴取協力を要請していた」とし、改めて議員に対する聴衆をする意志がない旨の説明があった。

 しかし、議会としてはすでに公表されている山本議員、須見議員、加戸議員3名の言動について、疑いだから何もせずこのまま見過ごすようなことになれば、市民からの納得は絶対に得られず、議会や職員に対する不信感が一層高まることは容易に想像できる。このたびの不当な働き掛けを防止する観点から、条項や条例が制定されていたにも関わらず、特定の議員から職員に対する度重なる働き掛けが行われていたことは重く受け止めるべきであり、特に名前が公表された3名の議員が報道機関の取材に対し「ねつ造だ」「悪質だ」「訴訟も視野に入れている」と答えたことは、決して見過ごすことのできない議員の資質にも関わるような大きな問題となっている。議会として真相解明を徹底的に行い、真の議会改革を進めることが、市民の負託を受けた我々議員の責務である。そのためには虚偽の証言や出頭拒否に対して禁固刑や10万円以下の罰金を科すことができる権限を持つ百条委員会を設置する必要がある。

 調査事項は、専門委員作成の2021年8月20日付調査報告書の調査対象となった市の事務執行に対する市議会議員の関与に関する事項に関して、本調査委員8人で構成する市の事務執行に対する市議会議員の関与に関する調査特別委員会を設置することとし、地方自治法第100条第1項および第10項ならびに第98条第1項に基づく権限を委任するものとする。また調査機関は調査が終了するまで閉会中も調査を行うことができるものとし、本調査に要する経費は本年度において100万円以内とする。

 

議員2名が反対討論
美馬議員「専門委員は再調査の必要性や市議会議員を直接聴取する必要はないと判断。プロの弁護士がそのような判断をしているにも関わらず、それ以上の結果が百条委員会で出ることがあるはずない」

美馬秀夫議員(自民)
 今回の報告書について、専門委員が記載している調査事項、事案はどのようにして抽出されたのかということが明確にされるべきだ。報告書6ページに事案の概要と経緯が記載されており、「市から情報提出を受けた事象をとりまとめると、次の表の通りである」とある。19件の事象が抽出されているが、なぜこれらの事象だけが抽出され、市から情報提供されたのかの根拠が示されていない。これらの事象が不当な要望と不当請求に該当するか否かを市はなぜ抽出したのかが不明である。またこれらの事象があったとされる時期は2018年4月から2020年4月で、6月16日の本会議で山本議員が条例に規定されている不当な要望があったのかなかったのかとの質問に、総務部長は「現時点では報告されていない」と明確に答弁している。6月16日時点では報告がなかった。それにも関わらず、これら19件の事象を抽出している行為は、まさにないものをあるものと決めつけて、市が専門委員に情報提供を行ったということになる。2018年4月から2020年4月は前市長の任期。この時期に市議会議員の不当な要望として報告を受けた事案は確かに1件あったそうだ。しかし、市長のところまで上がってきた報告内容はこのたびの報告書には全く記述がなく、触れられていない。不当な要望として上がってきたこの事案は、前市長が確認しているので、報告資料いわゆる証拠が現存していなければ、公文書隠ぺいまたは不法廃棄ということになる。このことだけをとっても、市が専門委員に偏った情報提供を行ったことは確かなようだ。

 しかし、このような偏った情報提供の中にも、依頼者に忠実な専門委員は精いっぱいの報告書を作成していると思う。本来、事実確認の判断は、事実が存在することを認定判断とすべきだ。しかし、専門委員は依頼者の要望に添うために事実が存在しないことを認定判断としている。これでは確実な証拠がなければ、事実確認等はできない。これを示すのに明確な内容は報告書の12ページ、調査結果の結論で「いずれの案件についても不当な要望と不当要求であることを根拠づけるために市の証拠が十分ではなく、不当な要望と不当要求が行われた疑いがあるとの認識にとどめることにした」とある。これは非常に苦しい。苦しんだ末の記述だと思う。全くの論理矛盾と言わざるを得ない。そもそも疑いがあるから調査をして、その事実認定を行うことが調査の目的。疑いがあるとして調査したが、十分な証拠もなく、疑いとされる事実認定ができないから疑いがあるとする事象が事実であるとも事実でないとも認定できないということだ。要するに、条例に規定される不当な要望と不当要求はなかったと事実認定すべきところを、疑いがあるとの認定にとどめておくというような記述を行ったということだ。また報告書の14ページには、そもそも市議会議員は市議会の予算議決権、条例制定権、調査権等の権限に基づき、市税全般に渡り、職員に対し質問し資料の提供を求め、意見を述べることなどが正当な職務として認められている、との記述がある。これはまさにこの報告書に記載されている事象はその範囲内であるということを伝えたかったのではないか。

 このように専門委員の2人の弁護士が約1年かけて調査した報告書の結果では、不当な要望と不当要求があったのとの事実認定はできていない。事前の総務委員会においても、専門委員は再調査の必要性や市議会議員を直接聴取する必要はないと判断があったとのこと。プロの弁護士がそのような判断をしているにも関わらず、それ以上の結果が百条委員会で出ることはあるはずもない。100万円の予算を計上し百条委員会を設置することに反対する。

 

古田議員「特定議員の特殊な利害関係のために調査権を発動することは権限の乱用」

古田美知代議員(共産)
 反対の立場で討論する。2016年12月に提案された一般廃棄物処理業の不許可処分に関する調査特別委員会は、確定した裁判記録等や不当な働き掛けをした裏付けがあり、除籍された岡議員を除き、全会一致で設置された。今回の案件については、報告書の検討結果の中で、不当な要望と不当要求を認定することまではできないと結論づけている。また総務委員会での質問に対し『報告書を提出した専門委員からは『職員に対する聴取レベルで確定的な事実認定には至らなかった以上、議員に対する聴取をするまでには及ばなかった』と説明を受けている」と答弁した。さらに総務委員会の休憩中に専門委員に確認したということで、総務部長は改めて「議員に対し聴取するという意志はない」と答弁している。法律の専門家がそのように結論づけているのに、100万円も使って百条委員会を設置して一体議員が何を調査するのか。議員の発言に関する事実調査のために百条調査権の発動には論議があり、百条調査は地方公共団体の一般的公益に関するものについて認められたものであって、議会または特定議員の特殊な利害関係のために調査権を発動することは権限の乱用と解すべきという見解がある。つまり、今回の案件では委員会の設置は意味不明で必要ないと考える。

「実名公表を求めた議員も公表した市長も責任重大で、3人の名誉を著しく傷つける」

 この案件に伴い、申し上げることがある。実名公表について。総務委員会で名前の公表についての質問に、第1副市長は「個人情報に該当するので基本的には非公開であるべき」と答えている。それを強引に市長に答弁させた。求めた議員も実名公表した市長も責任重大で、3人の名誉を著しく傷つけるものだ。その上、地方自治法第117条に該当するとした議長判断で、その問題に関する本人の議会質問をできなくし、その問題に関する質問が出る場合は議場から除籍した。地方自治法117条は、普通地方公共団体の議会の議長および議員は、自己もしくは父母祖父母、配偶者、子、孫、もしくは兄弟姉妹の一身上に関する事件、または自己もしくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件についてはその議事に参与することができないというものだ。実名公表された3人は全く当てはまらない。自分の考えを述べる発言の機会を奪い、議場からの除籍などは市民から負託を受けた議員の権利を奪うもので、絶対に認めるわけにはいかない。

 

記名投票を行う徳島市議=市議会議場

 討論終了後、議長を除く出席議員26人による記名投票が行われ、賛成18票、反対8票で可決された。賛成、反対議員は以下の通り。

【賛成】18人
 宮内春雄、武知浩之、本田泰広、梯学、加村祐志、春田洋、森本聖子(以上朋友会)土井昭一、藤田真由美、明石和之、岸本和代、黒下広宣(以上公明)佐々木昌也、岡孝治、黒田達哉(以上徳島活性会議)岡南均、齋藤智彦(以上至誠会)中西裕一(誠和会) 

【反対】8人
 見田治、渡邊亜由美、船越智子、古田美知代(以上共産)美馬秀夫、森井嘉一、玉野勝彦(以上自民)増田秀司(無所属)
 ※議決は井上武議長と、須見矩明、山本武生(以上自民)、加戸悟(共産)の3氏を除く