<むしゃくしゃに金属アラーム待ったなし>。昨日の本紙夕刊に載った「時事柳壇」の一句に、うなずいた読者はきっと多かろう。鉄道の駅にもいよいよ必要ではないのか、と

 神奈川県を走行中の東海道新幹線内で、乗客の男女3人が男になたで襲われ、殺傷された。亡くなった男性は近くにいた女性をかばい、被害に遭ったとみられる。正義感が瞬時に悲劇に転じてしまうとは。むごく、やりきれない。防げないものなのか

 再発防止に本気で臨むなら、空港並みの手荷物検査をする必要があるだろう。だが新幹線のメリットの一つは次々と発車する車両に、時間ぎりぎりでも駆け込める点にある。厳しい手荷物検査を伴えば、便利さが著しく損なわれてしまう

 1時間にせいぜい1、2本しか汽車が走っていない徳島ならできそうに思うもの。けれど東海道新幹線の運行は数分置き。東京駅での利用者は一日平均20万人近くに達する

 新幹線で起きた殺人事件は、これが初めてではない。過去にも金属探知機の導入話が持ち上がりはしたが、見送られてきた。関係者にとって相当なジレンマのようだ

 とはいえインバウンド(訪日外国人旅行者)が増え続け、東京五輪・パラリンピックも控える。世界に向けて、新幹線の安全を訴えなければならない。「待ったなし」の対策に、どう出るか。