アニメ『かげきしょうじょ!!』の場面カット(C)斉木久美子・白泉社/「かげきしょうじょ!!」製作委員会

 7月よりTOKYO MXなどで放送がスタートしたテレビアニメ『かげきしょうじょ!!』が、9月25日に最終回を迎える。宝塚音楽学校のような「紅華歌劇音楽学校」を舞台に、10代の歌劇少女たちが、未来のスターを目指してひたむきに奮闘し、葛藤する姿を描く青春スポ根ストーリーだが、中でも第8話「薫の夏」は視聴者の感動を呼び、“神回”と呼ばれている。ORICON NEWSは、その回の中心人物である星野薫を演じた声優・大地葉にインタビューを実施し、どんな思いで収録に挑んだのか? 作品を通じて得たものとは? 終幕が迫る『かげきしょうじょ!!』の魅力を聞いてみた。

【神回シーン】浴衣姿で微笑む薫…『かげきしょうじょ!!』神回8話の場面カット

 同作は白泉社の『メロディ』で連載中の同名漫画が原作で、女性のみで構成される「紅華歌劇団」の人材育成を目的とした学校「紅華歌劇音楽学校」を舞台とした青春ストーリー。オスカル様に憧れる178センチの長身を持った天真爛漫な少女・渡辺さらさ、夢も友達もすべてに無関心な元・国民的アイドルの奈良田愛をはじめとした少女たちの成長を描く。

 そんな少女たちの中にいるのが、元・紅華歌劇団娘役の祖母と母を持つサラブレッド・星野薫。プロ意識が高く努力家で、気が強く周囲とぶつかることもある男役志望の子だが、受験資格ギリギリの年で念願の合格を果たすなど苦労人の一面もある。

 神回と呼ばれている第8話は、薫が紅華歌劇音楽学校に入学する前の夏の思い出を描いたもので、彼女が女優を目指す理由と周囲からの期待など、悩み苦しむ姿が描かれた。そんな中である日、同じ悩みを抱える野球少年と出会うストーリーが展開され感動を呼んだ。

■“女優の夢”ブレない星野薫を尊敬 「大きな意味」ある出会えた今のタイミング

――第8話は涙を堪えての収録だったそうですが、台本を読んだ時はどのような心境だったのでしょうか。印象的なセリフ・シーンを教えてください。

【大地】 「ついにこの話を演じさせていただく時がきた…!」と意気込んだのを覚えています。8話という話数は、1クールの作品では一通り登場人物のキャラクター性を把握してきた視聴者の皆様が、心の中で1番応援したくなる登場人物を決め始めるころだと思っています。

 第7話までの時点で薫ちゃんは周囲の人達に対して当たりが強く、プライドとプロ意識の高いサバサバとした厳しい性格の女の子である描写が多いのですが、この話を観ることによってガラッと視聴者の方々が彼女に対して抱く印象が変わる可能性を秘めている、とても大切なお話になる事は収録前から確信していました。

 第8話という最高のタイミングでこのお話を演じさせていただけることになったからには、薫ちゃんにとって最良の結果をプレゼントしてあげなくてはいけないと思いました。彼女のファンを一気に増やせるビッグチャンスだったので…! 印象的なのは、日焼けした陸斗さんの腕と真っ白な薫ちゃんの腕の色を比べるシーン。陸斗さんの「オセロみたいだな」というセリフが大好きなんです。陸斗役の畠中祐さんと一緒に収録をしたのですが、隣で声を聞きながら「なんて繊細な声でお芝居される方なのだろう…」と深く感動したのを覚えています。特に2人の絶妙な距離を感じていただける、とてもすてきなシーンだと思います!

――夏祭りの薫の涙シーンは感動を呼びました。「私は自分の意思で決めたの!無理なんか1ミリもしていない。私が選んだ道」と力強さとともに「私バカだ、一瞬でも普通のJKが羨ましいと思ってしまった」と弱さを出す姿が印象的でした。大地さんもOA後はSNSで「私も薫ちゃんみたいに自分で選んだ道に誇りを持って生きていこう」とありましたが、同じ役者の仕事をしている立場として共感する部分だったのでしょうか?

【大地】 私はブレることなくずっと1つの道を目指してきた薫ちゃんと違って、最初から今の仕事に就く事を目標にしていたわけではありません。ですがこのお仕事を続けていく内に、私が生きていけるのはここしかないと心から思える瞬間が何度もありました。その中でも星野薫という役に選んでもらえたことは、歌のお仕事を目指していた過去がある自分にとって本当に大きな意味がありました。

 私の場合は1番の目標としていた姿は諦めてしまいましたが、今は昔から抱いていた歌う事への情熱に勝るほどお芝居が本当に楽しいと思えるようになりましたし、自分が選んだ道を誇らしいと感じています。

 そんな「今」というタイミングで彼女に出会えたのはとても光栄なことだと思います。それこそ、私自身も自分の未来のために自ら切り捨ててしまったものもたくさんあるので…そういうところも、とても共感できるんです。薫ちゃんの強気な姿勢は誰かと衝突して敵を作ってしまうことも多いかもしれませんが、それでも己を貫き続ける姿は視聴者の皆様の目にとても勇敢に、魅力的に映るのだと思います。私もそういう彼女に惚れ込んでいます!

■神回の大反響で報われた声優業 星野薫のプロ意識に感謝「見習うべき所が多い子」

――大地さんにとって星野薫というキャラクターはどのような存在になりましたか? 演じたあと、8話OA後から変わった心境・生活の変化などがありましたら教えてください。

【大地】 薫ちゃんは私にとって、自分自身を見つめ直すきっかけです。彼女のプロ意識の高さは本当にすばらしいし、自分のためだけでなく誰かのためにも涙を流せるすてきな心を持っている…役者としてだけでなく、人間として見習うべきところが本当に多い子だと思います。

 最近は、何か壁にぶつかる度に「こんな時、薫ちゃんなら絶対に諦めない!」と自分を鼓舞して乗り越えたりしています。第8話を演じさせていただいたことで彼女をより深く理解できたし、視聴者の皆様にも知っていただけたことがとても幸せです。

 実はOA直後から本当にたくさんの反響をいただいて…普段は全然連絡なんてこないのに、ちょっとびっくりするくらいたくさんの知り合いから長い感想がきたりもしました(笑)。私のことを昔からよく知っている友人からは、思わず泣けてくるようなうれしいメッセージがきたり…薫ちゃんのおかげで、今まで頑張ってきてよかったな、と報われた気持ちになれました。すてきな役に巡り会えたことに心から感謝しています。

――いよいよ最終話を迎えることになりましたが、『かげきしょうじょ!!』の一番の魅力はどこでしたか? 作品を通じて視聴者に伝えたいことがあれば教えてください。

【大地】 『かげきしょうじょ!!』は、理想や志を持っている人はとても美しいのだと改めて思わせてもらえる作品だと思います。隣の芝生が青く見えることや、どうしようもなく悔しい思いをすることもあるけれど、それでも自分の中にある大きな目標や理想像さえ見失わなければ、人は誰だって輝く事ができるのだと教えてくれる。そんなすてきな作品です。

 そして、誰しも共感できるような他者と関わる上での複雑な心境や、1度は抱いたことがあるであろうモヤモヤした薄暗い感情にもふたをせず、赤裸々に真っ直ぐに描いてくれるからこそ、言葉のひとつひとつがとても深く刺さってくるんです。そこがこの作品の最大の魅力だと、私は思っています。

 この作品を通じたくさんの方が何か大切な想いを受け取って、これからも心の中に宝物のようにずっとずっと持っていてくれたら良いな…と心から思います。アニメが最終話を迎えても原作はまだまだ連載中ですし、応援次第ではもしかしたら…何かあるかもしれませんからね! 私と致しましてはいつでも薫ちゃんを再び演じさせていただく準備はできておりますので、ぜひオンエア終了後も原作漫画とアニメ共々引き続き応援よろしくお願いします!

(取材/文 櫻井偉明)


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