災害時に介助が必要な高齢者や障害者らを受け入れる「福祉避難所」に指定された徳島県内の施設数は142(4月1日時点)で前年同期から33増えたものの、依然、国の目安の78%にとどまっていることが県のまとめで分かった。目安の半分にも達していない市町がある一方、2倍前後指定している自治体もあり、地域差が目立つ。人員やスペースの確保がハードルとなるほか、地域によっては対象となる施設が少ないことが指定の伸びを妨げている。
 
 福祉避難所は市町村が指定し、一般の避難所では生活が困難な高齢者、障害者、妊婦らを受け入れる。国のガイドラインでは小学校区に1カ所程度あることが望ましいとされており、県内では182カ所が必要になる。

 県地域福祉課によると、目安に達しているのは阿南、牟岐、北島など10市町村。小学校区が22と県内で2番目に多い阿南市は1~3月に担当職員が高齢者施設など28施設に説明して回り、全施設の協力を取り付けて指定施設を40に押し上げた。

 一方、徳島、鳴門、美馬など14市町は目安に届いていない。徳島市は小学校区31に対して指定は15。3年前から新たな指定がなく、担当者は「高齢者施設に協力を求めているが、それだけでは難しい」と漏らす。

 福祉避難所には対応できる人員や介護用品などの備蓄が必要で、耐震化やバリアフリー化も求められる。そのため、高齢者施設や障害者施設といった民間の福祉施設が多く指定されている。

 しかし、そうした施設には既に入所者や利用者がおり、受け入れられるのは職員やスペースに余裕がある施設に限られる。県西部のように福祉施設自体が少ない地域もあり、災害弱者のための環境整備は思うように進んでいない。

 県地域福祉課は「福祉施設以外も視野に、地道に増やしていくしかない。県としても物資や人員の確保など、課題解決に向けて検討したい」としている。