徳島県内にユニークな郵便ポストが点在しているのをご存じだろうか。徳島市にある阿波踊り像がのったポストは有名だが、それだけではない。県内各地にある一風変わったさまざまなポストを紹介する。

 日本の郵便制度が始まったのは、ちょうど150年前の1871(明治4)年。郵便ポストもこの頃に誕生し、当時は「書状集箱」などと呼ばれていた。国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選ばれている美馬市脇町のうだつの町並みには、この「書状集箱」を復元したポストがある。

書状集箱は明治時代から変わらず趣がある=脇町大字脇町

 うだつの酒屋「正木酒店」前にある郵便箱は黒塗りで、縦40センチ、横46センチ、奥行き35センチの鉄製。周辺の雰囲気と相まって、まるでタイムスリップしたような気分になれる。

 剣山山系に囲まれた四季美谷温泉(那賀町横谷)には8月、鹿をモチーフにしたポストがお目見えした。温泉の玄関脇に立つ鹿ポストは、角を含めると高さが約2メートル近くあって迫力満点だ。可愛いくペイントされた目や鹿(か)の子模様とは裏腹に、よく見ると立派な角は本物だった。施設の担当者は「ジビエ料理の普及のため、このデザインになった。施設の名物になってくれたらうれしい」と話した。

鹿ポストは本物の角を使用=那賀町横谷夏切の四季美谷温泉

 民話「阿波狸(たぬき)合戦」の舞台となった小松島市にも変わったポストがあった。旧国鉄小松島駅跡地にある小松島ステーションパーク(同市小松島町)で、蒸気機関車C12と50系客車が展示されている「SL記念広場」の入り口付近にはタヌキの銅像が乗ったポストがある。着物を着て堂々と立つタヌキ像の身長は約25センチ。がま口のような大きな袋を首からぶら下げており、郵便配達人のようにも見える。

SL記念広場の入り口にある狸ポスト=徳島県小松島市小松島町

 徳島県のほぼ中央を西から東へと流れる1級河川・吉野川の中流域にある阿波市阿波町の林郵便局には、人の身長よりも背が高いポストがある。1・5メートルほどの黒く細長い台座の上に丸形ポストが載っており、投函(とうかん)口には手が届かず、これでは手紙を出せそうにない。

2m以上はあるポスト=阿波市阿波町南整理の林郵便局

 それもそのはず、同郵便局によると、このポストは単なるオブジェ。郵便物が投函できる本物のポストは局の出入り口にあった。遠くからでも一目見て郵便局と分かるよう、使わなくなったポストを高い位置に設置したそうだ。

 徳島市のJR徳島駅と阿波おどり会館の前には、それぞれ阿波踊りの像が載ったポストがある。徳島駅前は男踊りと女踊り、会館前は女踊りと子どもの法被踊りの像が観光客らを出迎えている。

男おどりと女おどりのポスト=徳島駅クレメントプラザ前
女おどりの成人女性と男おどりの子どもがおどっている=阿波おどり会館前

 これらのポストは写真映えすることから、それぞれがSNS(会員制交流サイト)で話題を集め、隠れた観光名所になりつつある。日本郵便四国支社は「各地域に根付く特色をポストのデザインに取り入れて設置しているケースが多い。これらのポストを使って、大切な人にぜひ手紙を送ってほしい」としている。