徳島県は、那賀町鷲敷地区の浸水対策として2007年に策定した「輪中堤」計画を大幅に見直した。14年8月の豪雨で大きな浸水被害が出たことを踏まえ、堤防の高さを1・3メートル引き上げて最も高い地点で5~6メートルとし、総延長も2・3キロから5キロに伸ばした。事業費は65億円を見込み、19年度の完成を目指す。
22日、同町和食郷の町地域交流センターで開かれた住民説明会で公表した。
現在の輪中堤計画は、那賀川支流の南川と中山川の近くに半円状の堤防を築き、川からあふれた水を閉じ込める手法だった。堤防の高さは海抜53・5メートルに設定していたが、14年8月の豪雨では水位の高い所で海抜54・2メートルに達したため、計画の見直しが迫られていた。
新たな計画では、堤防の高さを海抜54・8メートルに変更。これに伴い、国道195号を中山川付近で約3メートル、南川付近で約7メートルそれぞれかさ上げする。
また現計画で、水を田畑に流し閉じ込める方法を採っていることに、農家らの強い反発があった。このため河川に沿うように堤防を建設することで、「水が流れ込む田畑は半分以下」(県南部県民局)にする。
また、14年8月の豪雨で那賀川本流が氾濫して浸水被害を受けた土佐地区には新たに延長1・1キロの堤防を築く。
県は今後、地権者の同意を得て測量に入るとしている。
現計画は、那賀川水系河川整備計画に盛り込まれ、約10億~11億円をかけて堤防を整備することになっていた。しかし、田畑に水を流し込むことなどに住民らの反発が強く、進んでいない。
説明会には、住民74人が参加。県の説明に対し「前回の台風時以上の雨が降った場合にはどうするのか。想定外の雨を考慮すべきではないか」「水害はダム操作と切り離せない。説明会を開くときは国と一緒にしてほしい」などの意見が出た。
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