「那賀町の名物料理に舌鼓を打ちながら人形浄瑠璃公演を楽しみませんか」。那賀町の拝宮農村舞台で6月7日、一日限定の「杜のレストラン」が開設される。木々の新緑が美しい農村舞台で、町の伝統芸能と食を同時に満喫できる初の試み。農村舞台公演と地元料理の両方のファン開拓につなげる。
白人神社境内にある拝宮農村舞台は、巨木に囲まれ、渓流の瀬音が聞こえるロケーションが魅力。主催する「阿波農村舞台の会」の佐藤憲治コーディネーターは「神秘的な雰囲気の中、縁台に毛せんを敷いた客席で食事や飲み物と一緒に公演を楽しむ。これこそが農村舞台の醍(だい)醐(ご)味(み)」と力を込める。
「杜のレストラン」とあって、客席の後ろには屋台が並ぶ。メニューは、ユズを使ったちらしずし「かきまぜ」やジビエ料理「鹿肉入りラーメン」をはじめ、名物おはぎ「はんごろし」、ユズシャーベットなどのデザートまで盛りだくさん。
公演では、地元の丹生谷清流座などが演じる「三(さん)番(ば)叟(そう)絵巻」や、拝宮農村舞台保存会と那賀高校人形浄瑠璃部などによる襖(ふすま)からくりが披露される。徳島市の青年座が人形を遣って振り込め詐欺防止を訴える「警醒(けいせい)電話鳴るとオレオレ詐欺の段」もある。
また、歌手の越路(こしじ)よう子さんのステージや同町木沢地区の高齢女性でつくる「きさわ杉の娘(こ)楽校(がっこう)」による人形時代劇もある。農村舞台でゆったり過ごしてほしいと、公演時間も例年の2時間から4時間に拡大した。
佐藤さんは「今後も農村舞台の持っている良さを引き出す方向で、次々と新しいことを考え続けていきたい」と話している。
午前11時から。入場無料。問い合わせは阿波農村舞台の会<電088(665)2202>。