上板町の地域おこし協力隊員を3月で退任した渡邉健太さん(29)=山形県出身=と楮(かじ)覚郎(かくお)さん(26)=青森県出身=らが、藍の栽培から藍染製品の製造販売までを行う合同会社を同町高瀬に設立した。同社が生産したすくもから独自の藍染製品を開発し、国内外に販売する。合同会社代表に就任した渡邉さんは「上板町に根差した企業として収益を上げ、経営を軌道に乗せたい」と力を込めた。
渡邉さんと楮さんは、協力隊員在任中から藍染アーティストユニット「BUAISOU.(ぶあいそう)」として活動。ユニットの活動を継承する形で、4月に藍染製品を製造販売する「BUAISOU」と、すくもを生産する「BUAISOU.製藍所」の合同会社2社を設立した。両社には2人に加え、石井町のファッションデザイナー三浦佑也さん(27)と、渡邉さんと同郷で2年前から上板町内の藍師の元ですくも作りの修業をしていた結城(ゆうき)研さん(24)が加わった。
設立に要する費用を抑えられることなどから合同会社の形式を選択した。同町高瀬の牛舎(木造平屋約300平方メートル)に両社の本社を置き、寝床、染色場、藍染製品の縫製場などを備えた工房として、秋の本格稼働を目指し、改修を進めている。
国は協力隊の任期終了後1年以内に地域で起業する場合、交付金を支給する制度を設けている。2社の設立には、これらの交付金を活用した。昨年、藍染の染色体験教室が人気を博した米ニューヨークにも4月に現地法人を設立し、藍染工房を開設した。
今後は、衣類や雑貨類など現在約20種類ある品数を増やす。商品の販売や染色業務の受注、染色体験講座の開催などで収益を上げる。近くネット販売も開始する。