第74回新聞週間期間中の17日は「新聞配達の日」。昨年から続く新型コロナウイルス禍で多くの人が外出を控える中、県内84店舗の徳島新聞専売所は読者が「おうち時間」を心穏やかに、また有意義に過ごせるようさまざまな提案をしている。地域とともに歩む各専売所の取り組みを紹介する。

記事活用し「脳トレ」 全店(84店)「鳴潮書き写しノート」利用呼び掛け

 徳島新聞販売店会は、新型コロナウイルス禍で増えた在宅時間に、徳島新聞1面コラム「鳴潮」を役立ててもらおうと、「鳴潮書き写しノート」の利用を呼び掛けている。

読者に鳴潮ノートをPRする堀江専売所の友成所長(右)=鳴門市大麻町

 A4判の鳴潮ノートは2013年に発売。1冊に1カ月分を書き写せる。見開きが1日分で、鳴潮の切り抜きを貼るスペースや、紙面と同じ体裁に作った原稿用紙の升目、その日の出来事などを書き込むスペースを設けている。価格は150円(税込み)。発売以来、幅広い世代に親しまれ、総販売部数は20年に20万冊を超えた。

 鳴潮ノートの普及に熱心な堀江専売所(鳴門市大麻町)の友成陽所長(58)は15年ほど前から、記事を毎日書き写す「写聞(しゃぶん)」を独自に勧めてきた。「脳トレ」で知られる東北大の川島隆太教授の講演で、大脳の前頭前野の鍛錬が認知症予防に役立つと聴き、「地域の読者に新聞を使って脳トレをしてもらいたい」と考えたためだ。

 鳴潮ノートが発売されてからは、手作りのチラシを折り込んで使い方や効果をPRしてきた。その輪は徐々に広がり、専売所の配達区域内では現在、約50人が取り組んでいる。

 「普段、文字を書く機会が少ないので、難しい字を思い出せずに調べることも多く、頭の体操になっている」と言うのは、約3年前から続ける小林重美さん(79)=同市大麻町市場。「最近は新型コロナのせいでなかなか外出できないけれど、書き写しは自宅で楽しめるからうれしい」と笑顔を見せる。

 友成所長は「日々タイムリーな話題を取り上げる鳴潮は脳トレに最適。集中力や時事力、国語力を鍛え、認知症を予防してほしい」とアピールしている。

家庭学習用ワークシート無料配布、家族で楽しく学ぶ 若手販売店主ら

 40歳以下の徳島新聞販売店店主らでつくる「青雲会」が7月、家庭学習用のワークシートを一新し、無料で配っている。新聞を使って気象や徳島の地理などを学べる内容で、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」に関する項目を加えた。子どもから高齢者まで年間を通して活用できる。

ワークシートを使って学習する家族=徳島市名東町

 シートはA3判で、九つのテーマごとに空欄に書き込んで仕上げる。SDGsは、17の目標について「見出し」と「分かったこと」をそれぞれ記入する部分があり、記事がどの分野に当てはまるのかを考えながら空白を埋めるようになっている。このほか、毎日の月の満ち欠けを書いたり、記事に掲載された都道府県を日本の白地図で確認したりするものなどがある。

 青雲会では、夏に小中学生がいる家庭を訪れて「夏休みの宿題のヒントにしてほしい」と勧めたほか、折り込みチラシで利用を呼び掛けるなどしている。

 青雲会会長で加茂名南専売所(徳島市名東町)の大和博人所長(38)は「親子で学習できる内容。楽しみながら新聞を活用してほしい」。家族で利用を始めた加茂名中学校2年の田村彩佳さん(14)は「知らない言葉を調べるようになり、勉強になる」と言う。

 シートは徳島市の北井上、南井上両小学校が授業で活用している。松茂町の松茂専売所管内にある老人ホームは、認知症を防ぐために利用している。各販売店で希望すれば無料でもらえる。

感謝の気持ち込め一筆箋、人々の心を癒やす 上八万専売所(徳島市)など

 上八万専売所(徳島市上八万町樋口)の久米一仁所長(56)の妻留美さん(54)は、感謝の気持ちを込めた一筆箋を読者に届けている。ぬくもりを感じさせる手書きの文字が、新型コロナウイルス禍で疲れた人々の心を癒やしている。

気持ちを込めて一筆箋にメッセージを書き込む久米さん=徳島市上八万町樋口の上八万専売所

 一筆箋は縦18センチ、横8・5センチ。久米さんはほぼ毎日机に向かい、青のペンで一文字ずつ丁寧にしたためている。親子で一緒に新聞を読んでほしいと呼び掛けたり、季節の変わり目に体調を崩さないよう気遣ったりと、相手に合わせて内容を変える。昨年来、直接顔を合わせてのコミュニケーションが難しくなった。「心が沈む『コロナ』の文字は使いたくないんです」と、何げない会話を意識して言葉を選んでいる。

 徳島新聞販売店会では20年ほど前から、お礼の絵はがきやお薦め記事のコピーに一言を添える活動に取り組んできた。「メモ用紙に書くのでは味気ない」と2014年ごろから一筆箋の活用が広がった。新規購読者に初めて配達する新聞に折り込むほか、およろこび・おめでた欄などに掲載された人に贈る記念紙面に添えるなどしている。

 これまでに久米さんが書いた一筆箋は約3000枚。読者から、はがきや電話で返信もあり、それが次へのモチベーションになっている。「店から皆さまに送る手紙だと思って、楽しみながら書いてきた」。受け取った読者の笑顔を想像しながら、今日も机に向かう。

徳新会・山下会長「じっくり読む機会に」

山下義明会長

 「自宅で過ごす時間が増えている今、ぜひ新聞をじっくり読む機会にしてほしい」。本紙販売店主らでつくる「徳新会」の山下義明会長(55)=国府南専売所=は呼び掛ける。

 専売所が主体となって鳴潮書き写しノートや家庭学習用ワークシートなどを用意。新型コロナウイルス禍で増えた「おうち時間」の充実を後押ししてきた。「新聞の強みはなんといっても情報量の多さ。脳トレに、勉強にと、毎日活用してほしい」と話す。8月には新聞を仕事に活用する手法をまとめた冊子も作った。判断力や会話力を磨くツールとして役立ててほしいと訴える。

 「見出しだけで世の中の流れを知り、幅広い情報に触れられる。アイドルの小さな記事がきっかけで、家族の会話が弾むこともある」と新聞の魅力を語る。

 毎日手作業で配達するだけに、コロナ対策にも力を入れる。配達に携わるスタッフは計1600人。手指消毒や時差出勤、対面作業の回避などを地道に続ける。8月にはワクチン接種済みを示すバッジを用意し、集金の際などに使っている。「長引くコロナ禍で地域情報へのニーズは高まっている。対策を徹底し、毎日確実に情報を届けたい」。