「上勝町ゼロ・ウェイストセンター」を管理する「ビッグアイカンパニー」社員の大塚桃奈さん

 大塚桃奈さん(24)上勝町ゼロ・ウェイストセンター

 ごみ収集所や宿泊施設からなる「上勝町ゼロ・ウェイストセンター」(同町福原)が2020年5月にオープンして約1年半。施設を管理する「ビッグアイカンパニー」の社員として、視察者の対応や企業との連携事業などに取り組んでいる。

 上勝町は03年、国内初のゼロ・ウェイスト(ごみゼロ)宣言を発表した。リサイクル率が80%を超える環境先進地で、町内にごみ収集車は走っていない。町民が自ら施設にごみを持ち込んで、45種類に分別している。

 施設がオープンしてから多くの取材依頼があり、これまでに新聞や雑誌などから70回以上の取材を受けた。予想を上回る反響で、全国から注目が集まっていると実感させられた。

 今年4月には、建物がごみゼロの理念を表しているとして、国内で最も権威があるとされる日本建築学会賞の作品部門に選ばれた。建物は上から見るとクエスチョンマークの形をしている。訪れた人に、ごみゼロに取り組む理由や必要性を考えてほしいとの思いが込められている。

 どうすれば個人の行動を変えられるかという点は、今後の課題だ。メディアにも、考えるきっかけになるような本質的な報道を求めたい。

 日本各地でデニムを回収するプロジェクト「FUKKOKU(フッコク)」に参加した際、徳島新聞の世帯普及率の高さを実感した。2カ月の間に、ゼロ・ウェイストセンターには166本のデニム製品が県内各地から集まった。記事をきっかけに持参してくれた人もいて、印象に残っている。センターのスタッフは上勝町の内と外をつなぐ存在だと思う。新聞にも、点と点を線にする「つなぐ」役割があるのではないだろうか。

 国連の持続可能な開発目標(SDGs)を、自分事として捉えるきっかけづくりも新聞に求められているだろう。例えば、地域の課題や目標とされている30年に向けての取り組みについて、高校生が取材して記事にする企画があれば読んでみたい。

 懸念しているのは、メディアからの注目が一時的なものではないかという点。上勝町の取り組みが上勝だけで終わらないように、定期的に発信し続けてほしい。