地域ぐるみの学び合いが 持続可能な社会の第一歩に

ESD 持続可能な開発のための教育

 「ESD」とは、「Education for Sustainable Development」 (=持続可能な開発のための教育)」を略した言葉です。地球上で起きているさまざまな問題を自分事としてとらえ、その解決に向けて自ら行動を起こす力を身につけるための実践的教育であり、SDGs達成の鍵と位置づけられています。今や学校だけでなく、地域の民間企業の間でもESDの取り組みが広がっています。
 今回はESD活動の推進に関わる団体の方々にお話をお伺いし、ESDの意義や四国内のESD実践例をご紹介します。

すべてのSDGs達成の鍵となるのがESD

 

 ESDは2002年のヨハネスブルク・サミットで日本が初めて提唱して以降、ユネスコを主導機関として国際的に推進されてきました。ESDの必要性はSDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」の中の7番目のターゲットに明記されているほか、2019年の国連総会で採択された「ESD for 2030」でも、ESDがすべてのSDGs達成の成功の鍵であると確認されています。さらに日本では新学習指導要領にもESDが盛り込まれ、学校教育として「持続可能な社会の創り手」の育成を進めています。

 

地域の企業にも求められる ESDの取り組み

 

 政府は5月に「第2期ESD国内実施計画」を策定し、オールジャパンで日本のESDを推進するために、地域の民間企業やNGO/NPO、研究・教育機関など、すべてのステークホルダー(利害関係者)を巻き込んだ活動の促進を盛り込みました。ESD活動推進センター(東京都)は国内8カ所に構えた地方センターとともに、こうしたネットワークの形成や学び合いの支援、情報発信などを行っています。ESD活動に取り組んでいる企業、団体、施設等を「地域ESD活動推進拠点(地域ESD拠点)」として登録しており、現在、四国4県には15の拠点が登録されています。その中で、民間企業ならではの特性や強みを活かした事例をご紹介します。

「SDGsなものづくり」を発信し、ファンを増やすメーカー

モザンビークと日本の交流やESD推進をPRする、2つの国旗を刺繍したタオル。

モザンビークと日本の交流やESD推進をPRする、2つの国旗を刺繍したタオル。 「製造過程における最大限の安全と最小限の環境負荷」を理念にした製造にこだわる、愛媛県今治市のタオルメーカー。オーガニックかつフェアトレードな原材料にこだわり、製造工場の電力は100%風力発電でまかなっていることから「風で織るタオル」の愛称で親しまれています。
 同社では毎年、工場見学会を開催し(コロナ禍ではオンライン開催)、製造過程やものづくりの姿勢を伝えてきました。消費者はタオルづくりを通して、原材料の背景や自然エネルギーの活用などSDGs達成につながるものづくりを学び、同社にとっては製品のファンを増やす良い機会となっています。
 また松山市などが2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会のモザンビークのホストタウンだったことから、愛媛県内で長年モザンビークを支援しているNPO法人「えひめグローバルネットワーク」と協働し、モザンビークと日本の国旗を刺繍した記念タオルを作製しました。同法人も地域ESD拠点であることから、ESD拠点同士がコラボして、オーガニックやフェアトレードの商品づくりについて学び合い、情報発信する好事例となっています。

いつものスーパーが視点を変えるとESD実践拠点に

 高知県香美市には、地産地消の品揃えや安心・安全な商品作りに熱心に取り組んでいるスーパーがあります。これまで味噌や巻き寿司など伝統食の手作り体験会やエシカル消費・自然農業について学ぶ講座、生産地ツアーなどが好評を博してきました。また店舗内で、地元の高校生によるマーケットを開催し、生徒が商品知識を身ににつけ、販売を実体験する貴重な機会となっています。まさに身近なスーパーが、地域の伝統や環境・流通・経済について学ぶ場になっているとともに、消費者と従業員が一緒になって社会課題に気づき、取り組みを広げるきっかけにもなっています。

パートナーシップと学び合いで築く持続可能な未来

 企業は従業員や株主、消費者や取引先、地域住民など、多くの人と深く関わり合いながら活動しています。だからこそ、幅広いテーマを扱うESD活動にマッチし、地域における学びの中核を担うことが期待されています。ESDの実践は、企業にとっても自社の取り組みの効果的な発信、新たなパートナーとの出会いや連携の強化、付加価値の高い製品の開発や新ビジネスの創出につながる可能性があります。
 四国内では行政や企業、NPO/NGO、教育・研究機関、各種施設等のジャンルを超えた交流が広がりつつあり、それぞれの特性を活かしたESD実践例がたくさん生まれています。ESDを通じてお互いに学び合い、パートナーシップを築き、協力しながら課題解決に向けて行動する力が、私たちの目指す持続可能な未来に近づく第一歩になるでしょう。

interview

 

ESD活動支援センター(全国センター)
川村 研治 氏 かわむらけんじ
ESD活動支援センター センター次長
文部科学省と環境省が民間団体との連携事業として2016年に開設。
国内8カ所に地方センターがあり地域ESD活動支援拠点(地域ESD拠点)と共に地域における取り組みを核としながら、ESD活動の支援を行っている。

 

 

四国地方ESD活動支援センター
竹内 よし子 氏 たけうちよしこ
NPO法人えひめグローバルネットワーク 代表理事(四国地方ESD活動支援センター 統括)
愛媛県の地域ESD拠点「NPO法人えひめグローバルネットワーク」が環境省中国四国地方環境事務所四国事務所と協働運営。四国のESD活動支援を地域ESD拠点と共に行っている。オンラインで学べる「四国ESDバーチャル大学」開催中。

 

SDGs(持続可能な開発目標)とは?
2015年の国連サミットで採択された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標。17のゴール・169のターゲットから構成されている。

SDGs Actionとは?
持続可能な社会が徳島から実現されることを目指して、2021年6月からSDGsについて、わかりやすく紹介しています。第4回は12月掲載予定です。

 

第1回「SDGsとは?」
第2回「今日からはじめるSDGs」
第3回「ESD 持続可能な開発のための教育」

第4回「テーマ:環境」
第5回「テーマ:防災」