徳島市南末広町の県立中央テクノスクール内にある県版職業紹介所「県すだちくんハローワーク」が、開設1年を過ぎた。職人の高齢化や若者のものづくり離れが進む製造業を中心に、求人開拓や求職者へのきめ細かな支援を進め、2017年度は56人が採用に至った。利用者は徐々に増えており、本年度は職業相談員を増やすなど体制を強化した。
すだちくんハローワークは17年3月30日に開設。職業相談員3人が求職の相談対応や面接訓練、企業とのマッチングなどを行う。
17年度の求人数は82事業者の312人(うち製造業は39事業者の217人)。人手不足が深刻化する中、地元企業の求人支援の役割も大きく、隣接する徳島経済産業会館の経済団体と連携し、企業を訪問して開拓した。
求職者は延べ467人が訪問。月別では4月の18人から徐々に増え、今年2月に最多の76人となった。求職登録者は累計95人で、このうちテクノスクールの訓練生や卒業生を中心とした技能技術者が38人。採用された56人のうち、技能技術者は32人を占めた。
国のハローワークとの差別化を図ろうと始めたのが「提案型マッチング」。履歴書や求人票など書面上の情報だけでなく、企業と求職者それぞれから要望や特技を聞き取った上で結び付ける。
高校中退や引きこもりなどで就職が困難だった4人にも提案型の支援を行い、全員の就職が決まった。県内のテクノスクールや農業大学校、県立高校に足を運び、学生、生徒への面接の指導などにも取り組んでいる。
相談員の米津雅美さんは「就職が決まれば良いのではない。他の相談員の助言も受けながら、長く勤めてもらえるように考えて紹介している」と話す。
本年度は、提案型の運用をより充実させるとともに、非正規雇用から正規雇用への転職支援にも力を入れる方針。相談員を2人増員したほか、仕事の後でも足を運んでもらえるよう火曜と木曜は開庁時間を午後7時まで2時間延長した。
谷口右也所長は「国の事業では支援が難しい求職者をすくい取ることが県版の役割。支援の質を高め、より多くのマッチングを目指したい」と話した