「選挙区は山口俊一、比例は公明党にお願いします」。公明党県本部が23日に鳴門市で開いた街頭演説会で、応援に駆け付けた竹内譲政調会長と、徳島2区に立候補している自民党前職の山口俊一氏が街宣車の上で口をそろえた。

 1999年から連立を組む両党は、県内では公明が選挙区の自民候補を支援し、自民が比例の公明候補を支持する「バーター協力」が定着している。今回も山口氏は、公明党が各地で開く講演会や街頭演説に招かれ、自公の結束をアピールしている。

 一方、同じ日に徳島駅前であった竹内氏の演説の場に、徳島1区に立つ自民党前職の後藤田正純氏の姿はなかった。1区は公明党県本部が後藤田氏を推薦せず自主投票にしたためだ。

 県本部は、後藤田氏の公認を巡る自民県連の内紛を踏まえ、公示3日前の16日に1区を自主投票にする方針を示した。古川広志幹事長は「推薦しないといっても後藤田氏の応援を妨げるわけではない。そもそも自民党内の問題で、中立の立場だ」と説明する。

 古川幹事長が「中立」を強調するのは、比例代表四国ブロックでの1議席死守を目指す公明党の思惑がある。これまで通り自民党支持者から幅広く支援を得るには、後藤田氏と県連のどちらかに肩入れするのは得策ではないと判断した。

 ただ、推薦しなかった後藤田氏の支持者からは不満の声も聞かれ、従来のような協力は得にくい。無所属元職の仁木博文氏との争いも激しく、後藤田陣営にとっては復活当選の可能性を広げるためにも、自民党の比例票はこれまで以上に重要になっている。

 22、23日に実施した徳島新聞とJX通信社の共同調査では、比例の投票先を公明と答えた徳島1区の自民支持者の人数は、徳島2区の半分以下だった。公明党県本部の関係者は「後藤田氏を支持する層からの比例票が減る分、自民党県連には今まで以上に票を回してほしい」と期待を寄せる。

 公明党内にも懸念要素がある。比例四国では2000年から議席を守ってきた。自公が政権を奪還した12年以降は県内で5万票前後、得票率15%超と安定し、政党順では3番手を維持している。力の源泉は、支持母体である創価学会の組織票だ。選挙のたびに国会議員を招いた政策や時局の勉強会を繰り返し、支持者の熱量を高めてきた。

 だが、今回は状況が異なる。新型コロナウイルスの影響で支持者の集まる機会が限られている。党県本部の関係者は「党の強みは草の根運動。運動員が政策や党の実績を理解し、知人らに支持を広げてきた。集会が開けない中、どれだけ関心が高まっているか読めない」と危惧する。

 鳴門市での街頭演説で竹内政調会長は「四国は大変厳しい状況だ」と危機感をにじませた。徳島1区のバーター協力を手放してでも自主投票を決めた異例の選択は、議席維持にどう影響するのか。不安を抱えたまま31日の投開票日を迎える。

これからの徳島を考える―徳島新聞選挙サイト「衆院選特集」