民泊用の部屋を確認する中野さん=徳島市内

 一般の住宅に有料で旅行者を泊める「民泊」を解禁する住宅宿泊事業法(民泊新法)が15日施行され、徳島県内でも営業が可能になった。県内では同日までに18件の届け出があり、そのうち8件が受理された。インバウンド(訪日外国人旅行者)が増加する中で、新たに滞在場所を提供する民泊は地方活性化の起爆剤として注目度も高く、県内事業者は外国人客との交流などに期待を寄せている。

 民泊新法は、旅館業法上の許可を得ていなくても、都道府県などに届ければ一般住宅で民泊が営業できる。県によると、受理されたのは徳島市7件、鳴門市1件で、建物の種別は戸建てが7件、長屋が1件。このほか、10件の届け出が審査中となっている。

 徳島駅近くの事務所兼住宅の一室を貸し出す中野次郎さん(43)=建築デザイン事務所経営=は、ホームステイを受け入れた経験があり、「外国人との交流で国際的な感覚を身に付けたい」と民泊を始めた。

 客間だった6畳の部屋にテレビやエアコンを設置し、2人分の布団を用意した。外国人客が使い方を理解できるよう、ごみ箱やトイレにイラストを表示している。料金は1人1泊3940円からとした。

 中野さんは「徳島の日常が体験できるよう案内し、魅力を自国に帰って広めてほしい」と話す。

 同市川内町の40代女性は昨夏の阿波踊り期間中に市が募集した「イベント民泊」に参加したことがきっかけで新法の民泊を申請した。時間に余裕がある時に受け入れる意向で「外国人旅行者とのコミュニケーションが楽しみ」と期待する。

 ただ、知らない人を泊めることや近隣住民への配慮などの不安も口にし、「客は慎重に選びたい」と語った。