薬王寺の石造文化財についてまとめた冊子

 県と美波町、県内の大学などでつくる「地域がキャンパス」推進協議会は、四国霊場23番札所・薬王寺(同町奥河内)の石造文化財についてまとめた冊子「薬王寺境内案内-石造文化財の魅力」(A5判、53ページ)を作った。道しるべや石柱、記念碑など計53点を写真で紹介し、建立された年代の推定や大きさなどを説明している。

 美波町を舞台に県内の大学生が学ぶ「県南地域づくりキャンパス事業」の一環で、四国大文学部の学生ら11人が同大の須藤茂樹准教授と共に、2012~13年に調査した結果をまとめた。

 江戸時代後期に建立されたとみられる十王像(縦73センチ、横49センチ、奥行き50センチ)には、「豊後屋」「寺嶋屋」などの屋号が刻まれ、日和佐地区の有力な廻船業が奉納したものであることを解説している。

 参道にある42段の男厄坂と33段の女厄坂の由来も説明。1808(文化5)年から6年かけて整備された女厄坂両側の石垣には、浄財を寄進した344人の名前があり、災厄を避けたいとの人々の思いが込められているという。

 このほか、司馬遼太郎の小説「空海の風景」の一節を記した文学碑や、1702(元禄15)年に建てられた境内最古の石灯籠などを紹介している。

 須藤准教授は「薬王寺には多くの参拝客が訪れるが、貴重な文化財を気付いてもらえない。多くの人に目を向けてもらうきっかけになれば」と話している。

 冊子は350部を発行し、関係者に配布したほか県南部県民局美波庁舎などに置く。

 同事業は本年度、「地域がキャンパス推進事業」から名称を変更し、県南部1市4町に活動地域を拡大している。